「ーーそうして俺には仲間が出来た。俺のせいで死を確約された残酷な運命を持つ仲間が」 レイルの体は見る見る内に人間の姿に変わっていき、先程のレイルと相違ない物になった。 だが、そうであってもその体はニャルラトテップが創り出した幻想に過ぎないの…
「うわァッ!?何だコイツッ!!?」 この世の終わりを見たかのような、そんな目をする男の傍らには、無残な格好で死に絶えた女性、そしてその子ども。更に遠くにはこれまた無残な死に様の男達が数人転がっていた。 更にその近くにはレイルがいた。 「あ・・…
二人の拳はぶつかった瞬間に衝撃波を生み出し、周囲に波紋を広げていった。 じりじりと小刻みに揺れる二つの拳は、徐々にヒューマノイド側に近付いていた。 (先程よりパワーが上がっている・・・ッ!?) ヒューマノイドは直感した。 「~~~ッ!!」 この…
「ぐがァッ!!?」 突如上空から放たれた黒い塊は見事レイルの頭部に命中、レイルは困惑と驚愕、そして痛みを覚えた。 もしこれが凡人だったら、頭が消し飛ぶ威力である。 「な、何だったんだ今の!?」 魔理沙は目を真ん丸にしてその様を見ていた。 黒い塊…
「おいおい、どういう事だよ・・・っ!何でお前がここに・・・っ!」 魔理沙が怪奇と憤怒の表情で睨むその男は、粉塵を巻き上げながら博麗神社の鳥居付近に着地した。 「やぁ嬢ちゃん、また会ったね」 レイルはそう言うと、笑顔で手を振った。だが、単なる笑…
「マズいな・・・」 パリンッ!と空間が割れた。 木や小動物、森羅万象が一点に収束する。それらの波はヒューマノイドを巻き込んでいった。 「おっ!?」 まさに超常現象だった。ビック・バンですら軽く凌駕するであろうその力に、人間であるヒューマノイド…
「す、凄いな・・・」 シュウ・・・と煙を上げる拳。その黒く変色した拳には傷一つ無かった。 一方レイルはというと、手が変な方向に曲がって地面に埋もれていた。 「確かにこれは硬いわ。前のと全然違うわ」 「口と脳は密接な関係で結ばれていて、例えば咀…
「霖之助!!」 こんな状況では絶対に見ないような顔にヒューマノイドは驚いた。確かに彼も妖怪ではあるが、戦いは苦手というかあまり好まない筈。それが、何故・・・。 「色々疑問はあると思うが、とにかくこれを受け取ってくれ!」 「おい正気か香霖!?そ…
「『砲哮‘‘超振動崩壊’’』」 レイルが発した大音量の咆哮は大きな振動を伴い、周りの物を一つ残らず粉砕していく。 それはヒューマノイドのロンズデーライトですら例外では無かった。 「ぬおっ!!?」 全身を硬化させていたヒューマノイドの体がボロボロ崩…
「す、凄過ぎるんだぜ・・・っ!」 霊夢達を安全な所に運んでいた魔理沙は、二人の戦いに魅入っていた。 正確に言えば、ヒューマノイドの戦い方に魅入っていた。 圧倒的に力で勝るレイルに対し、ヒューマノイドは技術で戦っていた。というのも、ヒューマノイ…
ヒューマノイドの肉片が、辺りに散らばる。 それはレイルの頬を掠めた。 ビシャアァァァァァァアアッ! 水が地面に跳ね返るような音がした。 ヒューマノイドの原型は、そこには無かった。 「少しパワーアップした程度で俺に歯向かうからだ」 レイルは頬に付…
「虚、だと・・・?」 その言葉を聞いてレイルは顔を歪めた。 「そう、虚。私は今までの修行が全て‘‘虚’’を意味する事に気が付いたんだ」 最初の修行は精神の強化の為に容易に怒ったり鬱になったりしないよう、いつも平静で紳士的な態度を取るように心がけた…
「お前・・・とことん俺を馬鹿にするんだな」 「え?君に何かしたっけ?」 「もういい。殺す」 レイルは恐ろしい速さでヒューマノイドに近付いた。その速さに周りの空気が振動し、まるでレイル自身が轟いているような迫力があった。 レイルは勢いのままに拳…
「が・・・ぐう・・・」 霊夢は呻き声を上げ地面に倒れていた。傍らには自らの血で体が真っ赤に染まっているアリスと早苗がいる。 「ふん、博麗の巫女とは所詮その程度か。失望した」 「かっ・・・ひゅう・・・」 「お前はアザトースに任せなくても俺が始末…
ん・・・。 ん、ここは・・・? 何もないな、真っ暗だ・・・。 私はどうしたんだっけか? ああ、そうか。死んだんだっけな。 と、すると、ここは死後の世界? 何だ、以外につまらない場所じゃないか。もっとこう、天国とか地獄とかがあって・・・。 あ、幻想…
「『秘術「グレイソーマスタージ」』っ!」 溢れんばかりの星型の弾幕が辺りを埋め尽くす。それらは形を崩し、拡散しながらレイルを襲う。 しかしレイルは弾幕など気にも留めていなかった。それもそのはず弾幕はレイルの体に触れた瞬間消滅してしまうのだ。…
「本っっ当にすいませんっ!」 頭を下げる大妖精。 「ほらっ、チルノちゃんも!」 「え~、やだ」 ヴァルドが気が付いたとき、何故か自身の体が氷に包まれていた。それはもう凍死してもおかしくないんじゃないかという程に。 そしてそれは目の前で駄々をこね…
魔理沙は、一目散にヒューマノイドに駆け寄った。 霊夢は、手に付いた血を見ながら俯き震えている。 早苗は口元を覆って涙を流し始めた。 アリスはあまりに凄惨なヒューマノイドの姿に、思わず目を背けてしまった。 「何やってんだ!早く肉体を再生しろよ!…
世界が、揺れる。 地震だとか、地鳴りだとか、そんなレベルではない。 まるで世界が恐怖で震えているようだった。 レイルの足元に出来た魔法陣は細胞のように分裂し、拡散した。 地面に水玉模様のような斑点が描かれる。 「破壊と創造の狭間・・・‘‘混沌’’。…
「『霊符「夢想封印」』!!」 霊夢はスペルカードを唱えた。 発動と同時にお札やら大小様々の弾幕、更には巨大な陰陽玉まで展開する博麗霊夢きっての大技。そんな技を序盤にいきなり使用するのだから、如何に普段本気を出さない霊夢が今回に限って真剣にや…
「ん・・・ここは?」 ヴァルドは目を覚ました。そこは全く知らない湖の畔だった。 「俺は確かボスと話してて、それで・・・っ、ボスっ!」 ヴァルドは勢いよく立ち上がった。 「ボスは死ぬ気だ・・・。ボスを、止めないと・・・」 ゆっくり一歩、また一歩と…
ヒューマノイドと華扇。二人の決闘は熾烈を極めた。現在までに至る戦闘技術、パワーを駆使し戦うヒューマノイドに、妖怪ならではの圧倒的な破壊力と耐久性を持って迎え撃つ華扇。二人のいた場所は木々が薙ぎ倒され、大地は抉られ、如何に修羅場であったかが…
「う・・・」 「あら、気が付いた?」 「お嬢様・・・」 咲夜は起き上がろうとする。が、体中の痛みがそれを妨げ、彼女に肘をつかせた。 その様子を見たレミリアは、慌てて咲夜を支える。 「咲夜、大丈夫?」 咲夜の体を気遣うレミリア。 しかしレミリア自身…
時間は少し遡りーー。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「中々にしぶときものよ。だがいつまでもつかな?」 「くっ!」 アジは態勢と立て直す。一体何回こいつを殺したのだろうか?二桁、いや三桁はいったかもしれない。しかしマインドは尚もピンピンしている。 対…
「ふ、ふざけたことをぉぉぉおっ!!」 アシッドは手を前に突き出す。 その動作に呼応しアシッドの周りの酸が魔理沙を溶かしてくれると言わんばかりに発射された。 「甘いぜっ!」 魔理沙は半ば余裕の笑みを零しながら放たれる酸を軽々と避ける。 (ならば、…
「ほらほら避けろ避けろ~」 アシッドの溶解液が断続的に放たれる。勿論一度でももろに喰らったらゲームオーバーなのだが・・・。 「ふん、こっちは避けるスペシャリストだぜ!」 魔理沙がそう豪語するように、幻想郷の住民は弾幕ごっこという遊戯の中で動体…
二人の拳が交差する。刹那、激しい衝撃波で周辺の木々が木片と化した。 両者の勢いはまだ劣らない。ヒューマノイドはすぐに逆の手で華扇の顔面めがけ拳を突き出すが、華扇はそれを払いのける。 上手く力を受け流されたヒューマノイドは一瞬バランスを崩した…
「お前まだ動けたか!また厄介なのが増えたぜ・・・」 「弱い奴程よく吠えるってね」 何だと!と魔理沙がアシッドに食って掛かろうとしたところをヒューマノイドは慌てて止めた。 ヒューマノイドも情報だけなら知っている人物。魔理沙と霊夢、更には萃香とい…
ガシッ。 「ッ!」 今度は華扇の方が背負い投げをした。 (速いッ!) ヒューマノイドの体が宙に舞う。そして頭から地面に・・・。 ところがヒューマノイドは思いっきり体をくねらせ、体が地面に着くギリギリのところで両足で着地した。 その衝撃は両足の周…
※この小説は一部堕華さんやスフォルさん、クトゥルフさんのオリキャラ及び設定を流用しています。 興味のある方はどうぞこちらへ↓ スフォル→スフォル (id:minustic000) 堕華→堕ちた翠の華 (id:qaswedcxzz) クトゥルフ→cthulhu (id:so-nanoka-9) では本編をど…