「妖怪だって!?他の世界から妖怪が来てるのか!?」 「何も不思議ではないだろう、幻想郷の様な世界が他にあったところで」 「で、何の妖怪なんだ!?」 「それは・・・」 アジはそっと空を見上げた。 ヒューマノイドは腰の辺りから二丁拳銃を取り出した。…
「全く、お前こんなにトロかったのか?」 「五月蠅いなー。そんなに焦る必要もないだろう?」 そういって、茂みえを掻き分けながら男は姿を現した。 身長おおよそ165センチ。体つきがよく、見かけによらず丁寧な口調。それはマインドもリーザも、アジも予…
「はっ!」 「ふんっ!」 勇儀と聖、二人の拳が交差する度に莫大な衝撃が周囲に巻き起こり、木々は皮を削がれ、土は身を抉られていく。 二人の勝負は全くの互角だった。このままでは同じタイミングで両者が倒れるか、ひょんな事からどちらか一方だけ生き残る…
「鬼相手にスペルカードは無用っ!」 聖がエア巻物を翻すと、それに伴い聖の体が赤黒く発光する。 「かかってきなっ!」 勇儀がそういった瞬間、聖が視界から消えた。 「っ!」 勇儀が気付いたときは既に聖は勇儀の背後に回っていた。 魔法で極限まで強化さ…
ここはどっかの森ーー。 「WRYYYYYYYYYYYYY!!行くぞ行くぞぉぉぉぉおっ!!」 「少しは落ち着いたらどうなんだ・・・」 アジとリーザ、紅竜玉神殿に住まう二人の荒くれ者は今、ヒューマノイド奪還に向け張り切っている。 そのスピードたるや、天狗に勝ると…
「はぁっ・・・はぁっ・・・」 「逃がすか!追えッ!追えッ!」 「くっ・・・」 逃げ続ける魔理沙に、敵の追手は容赦なく襲い掛かる。 「よし、掃射!」 鉛弾の嵐が魔理沙に浴びせられた。 魔理沙はなるべく狙いを一点に集中させまいと上下左右不規則に動き…
その頃別の場所では、幽香と勇儀、レミリアの三人が命蓮寺組と対立していた。 「あらあら。命蓮寺の尼僧さんがこんなところで何を?」 「さあ、何故でしょう。急に倒れてしまって気が付いたら体の自由が利きませんでした」 「奇襲・・・また残酷な運命ね。真…
「おーい!いるかー?」 ここ、魔法の森では魔理沙と咲夜がヒューマノイドを探していた。 「いるなら返事しろー」 「ここには居ないみたいね」 「そうだな・・・うん?あれは・・・」 魔理沙が目を凝らした先には、ピンク色の短髪で水色を基調とした服を着た…
「・・・ってことだ。助力をしてくれないか?幽香」 「あら、そう。私が行くとすぐ終わりそうだけど?」 「ならすぐ終わらせてくれ。こっちにも思うところがあるんだ」 「ふ~ん・・・。まあ気を付けなさいね」 「こっちの台詞でもあるんだがね」 幽香は最後…
「ふー、手こずらせたわね」 咲夜は手に付いた汚れを払ってそう言った。その傍らには、兵士達が怯えた様子で蹲っている。 「何だあの女・・・、本当に一瞬だった!一瞬の内に姿を消し、一瞬の内にナイフを投げ、そして一瞬の内に俺らの武器を全部使えなくさ…
「プルルッ!プルルルッ!」 それはヒューマノイドが普段つけているスライドヘッドホンから流れた音だった。勿論外部には漏れていない。 「萃香ちゃん、ちょっと耳を塞いで後ろを向いてくれないかな?」 「おー分かったー。鬼は約束は破らないからな」 萃香…
「ぐあぁっ!」 衝撃と共に華扇の体が宙に舞う。それは突然のことであり、華扇は受身も取れず地面に叩きつけられた。 「・・・まずは一発。これでまた、汝は我が手駒に近付いた」 崩れた壁から出てきたのは体つきがよく大柄な男。眉間には常にシワがよってい…
今、幻想郷では各地で激しい戦闘が繰り広げられている。 弾幕と銃弾が飛び交う嵐の中、両者とも負傷者が続出していた。 「ぐっ・・・あっ・・・」 「大丈夫だ!傷は浅い、応急処置をすれば何とかなる!」 「痛い・・・痛いよぉ・・・」 「くっ・・・!(この…
「ボス、報告が」 「・・・分かっている。3人とも敵の手に落ちたのだろう?」 「はい。我が部隊も殆どが敵の療養所内とのこと」 「何故ヒューマノイドという男は我々を殺さぬ?放っておけば確実に危険なものなのに」 「・・・」 「いけ好かぬ奴だ。そうやっ…
「・・・貴方、本当にあのヒューマノイドさんで?」 「ハハッ。見ての通りですよ。まぁ人格が変わったのは認めますが」 団員からの視線が痛い。そりゃほぼ2年近くギルドを留守にして帰ってみたら「私」だなんて確かに誰だコイツとなるのは分かる。分かるけ…
「オラオラオラオラオラぁッ!」 グロウは猛攻を仕掛ける。 「ぐ・・・」 ヒューマノイドは受け止めるので精一杯、正確に言えば受け止めることしか出来ないのだ。 反撃しようとするとその威力が等倍になって返ってくる。ヒューマノイドは段々と消極的になっ…
「・・・ところで」 突然ヒューマノイドが起き上がる。その声色は先程のようなおちゃらけた雰囲気ではなく、戦いの時の真剣なヒューマノイドのものだった。 「どうしたのですかヒューマさん?」 「さっきっから君は何ジロジロ見ているんだい?どうせ気付かれ…
コンコンッ。 「・・・入れ」 ガチャッ。 「・・・レイル様、マクロが敵の手に落ちたようです」 「はぁーっ・・・あいつはやっちまうとは思ったが・・・」 「こちらとしては、指揮官を一人失った形となります。いかがなさいましょう」 「問題ない。あいつは…
「『旋符「紅葉扇風」っ!』」 文の目の前に竜巻が発生し、アランに襲い掛かる。 「甘いっ!」 アランは全身を硬化させ、自らの質量を増やした。 その重さは文の竜巻に吹き飛ばされないようにするには十分だった。 「くっ!」 「ではお次はこちらから♪『鉄柱…
「いくよ!ルナ!スター!」 「言われた通りやるのよ?」 「心配だわ・・・」 サニー・ミルクが光を屈折させ、周りの景色を変える。 それと同時にルナ・チャイルドが周囲から『音』を奪い取った。 「何だ!?一体何が起きているっ!?」 突然の事に敵兵士は…
「はぁっ・・・はぁっ・・・。くっ!」 突如現れた別部隊に鈴仙は手を焼いていた。既に数十名の妖怪が負傷している。 そしてアリスまでも戦闘不能になってしまった。 そんな中で、鈴仙はある違和感を覚えていた。 (能力が、効いていない・・・っ!?) 敵部…
ここは紅竜玉神殿。最近不慮の事故でこの幻想郷に来ることになってしまった『神様』達が集う場所である。 「ちょっと耳に入れておきたいことがある」 ヒューマノイドは改まってそう言った。 「どうしたんだ突然」 少女の名はアジ=ダカーハ。 幻想郷を崩壊の…
鈴仙・優曇華院・イナバは魔法の森にて妖精や天狗等を従えた一隊を指揮していた * 『魔法の森は必ずといっていい程相手が通る危険性がある所だ。上空からの奇襲が困難な上に身を隠せるものが沢山ある。恐らくは相手はここに潜伏し、奇襲をかける準備をする…
「・・・。とうとう、起きてしまった。この世界に『異変』ではなく『戦争』が。私が怖いのは戦争自体ではなくその後だ。幻想郷に銃器や爆弾等の兵器が広く知られてしまったらこの幻想郷の秩序は、恐らくは崩壊してしまうかもしれない。あれは、人間でも妖怪…
ヅー・・・ヅヅ・・・ヅーヅー・・・ 小さな部屋の中に形容し難い雑音が鳴り響く。 もう春になるというのに懲りずにニット帽を被っている少年、ヒューマノイドは耳にあてたスライドヘッドホンのダイヤルを弄った。 カチャッ。という音と共に先程まで鳴ってい…
全く。今日は花火でもやっているかのようによく爆発音が鳴る。 爆発音といえば、アフリカに住む子供達は遊んでいた時に近くで爆発音がしても無反応せ遊び続けるそうだ。彼らにとってそれは日常茶飯事の事なので全く驚かないらしい。戦士としては立派だと思う…
私は拠点の奥の方へと進んでいった。 闇雲に進んでいるわけではない。しっかり霊夢ちゃんが捕らえられている場所へ向かっている。 そう裏付けられるのも、新しい協力者のおかげだ。 「無線の調子はどうだい?」 「素晴らしい、といった所だ」 無線に出たのは…
ーー幻想卿某所。 「まだ異常は無いようだな」 「ああ。だが油断しては・・・。ぐっ!?」 「どうした!?敵か!?」 「寝ている人に訊いたって意味は無いよ」 「なっ!・・・グハッ!」 「これで拠点前は制圧かな。・・・まぁ、大した事は無かったね」 眠ら…
「お待たせしました~!」 「あんまり待ってないがな」 「そうだね」 今さっき文を情報収集に遣わせたら、10秒ぐらいで帰ってきた。全く恐ろしい子だ。 「いや~すいません!私としたことが10秒もかかってしまいました!」 「いやいや十分だよ。それで何…
ーー妖怪の山、天狗の住処 「お、戦ってますね」 「いやいや、何を呑気にしてるんだ。私らも参加しないとマズいだろ」 着いた頃には激戦が繰り広げられていた。 「乗っ取られる前で良かった。さて敵の大将さんは・・・」 辺りを見回す。と、魔理沙が先に気付…