yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 21

「オラオラオラオラオラぁッ!」

グロウは猛攻を仕掛ける。

「ぐ・・・」

ヒューマノイドは受け止めるので精一杯、正確に言えば受け止めることしか出来ないのだ。

反撃しようとするとその威力が等倍になって返ってくる。ヒューマノイドは段々と消極的になっていった。

「受け止めることしか出来ねぇのか?そんなに痛いのが嫌か」

「・・・っ、では私も攻勢に出るとしよう」

ヒューマノイドは力一杯グロウを殴った。しかしグロウは待ってましたと言わんばかりにニヤッとした表情を浮かべる。

「そっくりそのまま返してや」

「遅い」

ヒューマノイドは強烈なアッパーを喰らわせた。あまりの威力にグロウが上に吹き飛ばされた程だ。

「消極的なのはどちらだ?返してばかりでは勝てないぞ?」

「・・・おーけー。充分力は蓄えた」

吹き飛ばされたグロウは地面に向かって垂直に落ち、勢いのままに拳を振るった。

(っ!?先程のアッパーと威力が桁違いだ!)

ヒューマノイドは直感でそう分かった。直ぐに殴られそうな部位を硬化させた。

硬化させた部位に拳が振り下ろされる。ロンズデーライトに亀裂が走り、ヒューマノイドに若干の傷が出来る。

「成る程、それがてめぇの能力か。そして生身の状態で殴り硬化させて受け止める事によってダメージを負わないようにしたのか。ならその傷は何だ?」

傷を指差しグロウはそう言った。

「・・・君は、ただ単に衝撃を等倍にして返すだけじゃなく衝撃を体内に溜め込んで次の攻撃に一気に解放することが出来る、ということだね」

「その通り。最初の攻撃もそうだろう?殴られた衝撃を『溜め込んで』岩にぶつかった衝撃を重ねて返した。そして今のはストレートとアッパーの衝撃に更にお前が攻撃を受け止める度に生じる衝撃を重ねた。これがどういう意味か分かるか?」

「今硬化させて受け止めた際の衝撃も加算される。迂闊に受け止める事は出来ないという訳だ」

「そういう事だ」

グロウは勝ち誇るように言った

「そうか・・・。でもね」

ヒューマノイドは掌にロンズデーライトを生成した」

「このロンズデーライトと私の感覚はリンクしている。これが何を意味するか分かるかい?」

「感覚がリンク・・・?索敵にも使えるということか?」

「正解だ」

「ふっ。くだらねぇ」

グロウはヒューマノイドに飛び掛かった。

「だから何だっつうんだッ!!」

「実はさっきの質問にはもう一つ答えがあってね。それは触れた物の温度も感じるという事だ」

グロウは拳を振った。しかしそれは空を切る。

ヒューマノイドは圧倒的な早さでグロウの態勢を崩し、連打を叩き込んだ。

「グハッ!」

「君の体温、少し熱すぎるんじゃないか?」

「っ!?」

グロウが反撃しようとするとすぐに背後を取り殴る、殴る、殴る。その近距離での圧倒的なスピード、技術、精密性は天狗のそれとは異なる、一瞬の敏捷性があった。

それに加え4000年の戦闘で培った思考力は相手の欠点を見抜いていた。

「君の能力は衝撃を運動エネルギーに変えるものだろう?運動エネルギーはある物と深い関係がある。熱だ。熱がある物質は大量のエネルギーを有している、ということになる。これがどういうことか分かるかい?」

「・・・」

「君は衝撃を運動エネルギーだけじゃなく、熱にも変換しているんだ。君が能力を使う度に熱が蓄積される。そして君の体の温度はどんどん上がっていく」

最後の一発を決めると、ヒューマノイドは付け足していった。

「そしてそれは直ぐに発散しないと自らの身を滅ぼすことになる」

「グアアァァァァァア・・・アアッ・・・!!!」

突如グロウの体が急激に高くなった。熱を溜め込みすぎたのである。

「ハー・・・ハー・・・」

「君は強者と弱者の違いが分かるかい?」

「なん・・・だ・・・?」

「それはね、『勝ったか負けたか』。ただそれだけさ。戦って勝った者が強い。負けた者は弱い。そして、戦わないとそいつが強いかどうかなんて分かりっこない。それなのに君は戦う前から私を下に見ていた。それが君の敗因だ」

そう言うとヒューマノイドはグロウをおぶった。

「っ・・・お前・・・」

「熱で脳がグチャドロになる前に冷やさないとな。レティちゃんかチルノちゃんの所に連れてくか」

「何・・・で・・・」

蚊の泣くような声でグロウが言った。

「何で・・・おま、えは・・・当たり前のように、敵を・・・助ける・・・?」

「ったく。この戦いは質問が多いね。何故だか教えてあげるよ」

落ちそうになったのをおぶり直してからヒューマノイドは呟いた。

「当たり前のように、じゃなくて、それが当たり前なんだよ。私は敵味方種類問わず命は守る主義だからね」

一呼吸置いてから、続けた。

「そしてそれを実現するには強くなければならない。だから私は強くなりたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文&アラン「空気ェ・・・」