yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 19

コンコンッ。

「・・・入れ」

ガチャッ。

「・・・レイル様、マクロが敵の手に落ちたようです」

「はぁーっ・・・あいつはやっちまうとは思ったが・・・」

「こちらとしては、指揮官を一人失った形となります。いかがなさいましょう」

「問題ない。あいつは元々指揮官向きじゃなかったからな・・・。だが人望が厚かった分痛いな。他には?」

「はい。アランとその一隊が敵と交戦中のようです」

「あいつは一度やられているからな・・・。今回も危ないかもしれない」

「それでは私が彼女のバックアップをしておきましょう」

「頼むぞ。我が軍の指揮官はお前を含めて二人しかいないのだ」

「承知しました。では」

「・・・お前はどこまで俺に尽くせるか・・・。期待しているぞ・・・

 

 

グロウ・ストレンジャー・・・」

 

 

「ぐあっ!?」

「文さんっ!」

「余所見すんじゃねぇよお嬢ちゃんッ!」

「くっ!うぐっ・・・」

文達は劣勢に立たされていった。二人の体はもう満身創痍である。

「うふふ。もう体力切れかしら?妖怪が聞いて呆れるわ」

「ぐぅっ!」

アランは倒れている文の顔を踏みつけた。

「ま、今まで平和の下で甘っちょろく生きてきたのだから仕方無いわよね。私はねぇ。そうやって貴方達がのんびり暮らしている間死に物狂いで戦ってきたの。貴方に理解出来る?」

「うぐっ・・・分かりませんね。その死に物狂いの戦いには何か意味があったのですか・・・?」

「・・・どういうことよ」

踏みつける力がどんどん強まる。

「うがぁっ!」

「文さん!」

「お前は動くな!」

「何か意味があったかって?決まってるじゃない。生きる為よ。敵を×さないと私達は生きられないの。そういう宿命なの」

「それがどうしたっていうのですか・・・」

「はぁ?」

「貴方達が行なってきたのは生きる為の蹴落とし合いではありません!ただの虐殺です!それを宿命だなんて、諦めているだけじゃないですか!」

「ッ!!だったらどうしろっていうのッ!?」

ドンッ!ドンッ!とアランが文の腹部を連続的に蹴りつけた。

「死にたくなんてないッ!でも戦わないと殺されるのッ!敵に、ボスにッ!」

「ぐ・・・ぐぁ・・・ああっ!!」

「文さんっ!!(後少し・・・まだ・・・)」

「戦わないと死ぬッ!負けても死ぬッ!だから戦って勝たないといけないッ!これを生きる為の蹴落とし合いと呼ばずに何と呼べばいいのッ!?」

「ケホッ・・・グフッ・・・。貴方、泣いているのですか?」

文の顔にアランの涙が滴る。

「・・・私だってこんなことしたくないの・・・。でも・・・でも、こうするしかないのよ・・・」

「・・・」

「誰か・・・誰でもいいから、ここから抜け出して・・・助けてよ・・・ッ!」

「文さん、今ですっ!」

突如、文が即座に起き上がりアランの背後を取った。

「なっ!?」

「すいませんね。しばらく動かないでください」

上から突風が吹きアランは地に伏せる。身動きどころか、能力を使う暇もない程だ。

「なっ、隊長!」

「余所見はいけないんじゃないんですか?」

妖夢は拘束していた男に刀背打ちを浴びせる。それは正確に敵を殺めない程度で、更に確実に意識を飛ばす力加減だった。

「てめえ・・・!」

兵士達の目線は妖夢に釘付けだった。

「椛さん、お願いしますっ!」

なので背後からの奇襲に対応する術は無かった。

「はい!皆、今です!」

椛率いる白狼天狗の一隊は瞬く間に敵を無力化していった。

「最初の合図で援軍はまだ来ていないと錯覚したのが誤りでしたね。本当は最初からこの場に潜伏させていたのですよ」

「・・・これも、あの男の策略?」

「はい」

「そう・・・。負けちゃったのね私。死ぬのね・・・」

「それは違うよ」

「!」

声に振り向くとそこにはヒューマノイドの姿があった。

「戦いの最中、又は収束がついた後に敵を殺さなければならないのは、それは己の実力が足りないからだ。己が弱いから、人を殺さなければならないのだ」

ヒューマノイドは文に目配せをすると、文はアランの拘束を解いた。

「自分でいうのは少々驕りになるが、私には人を殺さずに済む力がある。だから私は生命を、人を、君を、殺めたりなどしない」

「そんなの有り得る訳・・・」

「それにしても君可愛いとこあるんだねぇ~。「誰か・・・誰でもいいから、ここから抜け出して・・・助けてよ・・・ッ!」なんてさ~」

「なっ・・・う、うるさいわよ!ほっといて頂戴!」

「でもその淫らな格好は戴けないなぁ~。そうだ、私の師に教え直して貰うのはどうだい?そうすれば君もっと可愛く・・・」

「ふざけるなこの変態!」

乙女の会心の拳がヒューマノイドに浴びせられた。

「おっふぅ!!いいセンスだ・・・」

謎の言葉を言い残し、ヒューマノイドは倒れていった。

「な、なんなのこいつ・・・」

「これがヒューマさんですよ。よく分からないことばっか言って自分の体を痛めつけてまで場を和ませて」

「凄いのかどうか分からないわ」

「どんな状況でも常に『楽しさ』を求める。それが戦場だろうと、ね」

「楽しさ、か・・・。って、ただの呑気な男じゃない」

「そうかもですねっ!そんなんだから素でめんどくさがられるんですよ~www」

「そ、そう・・・(さっきまで褒めてたよねこの人?)」