yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 37

「お前まだ動けたか!また厄介なのが増えたぜ・・・」

「弱い奴程よく吠えるってね」

何だと!と魔理沙がアシッドに食って掛かろうとしたところをヒューマノイドは慌てて止めた。

ヒューマノイドも情報だけなら知っている人物。魔理沙霊夢、更には萃香という豪傑三人相手に一歩も引かなかった強敵。

この状況にとっては厄介この上ない存在となった。相手は万全の状態の人妖三名。ヒューマノイド側は四名だが、リーザは手負いの状態である。戦力はほぼ変わらないであろう。

やれやれと言わんばかりにヒューマノイドは頭を掻いた。いやニット帽があるから掻ける訳はないのだが。

「さて、どうしたものか」

ヒューマノイドは周りを見た。恐らく相手はなるべく自分をリーザに近寄らせないだろう。となるとリーザを守れるのはアジか、魔理沙か・・・。

「どうしたヒューマノイド?いつものように策をたてないのか?追い詰められて頭が回らないか?」

「なぁマインド。もうこっちから動かないかい?」

「仕様が無い。では話した通りだ」

マインドとアシッドは地面に降り、その場に留まったのは華扇だけだった。

(成る程、足止めは師匠か・・・。やりずらいが致し方あるまい)

「三人とも、聞いてくれ」

三人がヒューマノイドの方を向いた。ヒューマノイドは三人の顔を確認し話を続けた。

「今回はいかにリーザを守るかが鍵となる。そこでだ」

作戦はこうだ。

基本的にはヒューマノイドが最初に考えた布陣と変わらない。アシッドとマインドを魔理沙、アジで攻撃且つリーザの護衛を行いリーザは回復しつつも二人をサポート。ヒューマノイドは華扇と対峙しなるべく華扇を他の奴らに近付かせない。

分かりやすく言うと取り敢えず各々で敵を倒してくださいよという事だ。

「・・・浅はかすぎないかこの作戦?」

「いやだって切り札という切り札なんてないし・・・とにかく頑張ってよ」

「はぁ・・・それで私と魔理沙、どっちがアシッドでどっちがマインドの相手をすればいい?」

「そこは臨機応変によろしく」

「・・・らしくないぞ?ヒューマ」

「だってこの状況だと作戦たてる必要無さそうだし・・・悪竜なんだからちょちょいと片付けてくれよ」

「何だその適当な責任転嫁」

「ちょっといいか」

アジとヒューマノイドが他愛もない会話をしていると、魔理沙が横槍をいれてきた。

「どうしたんだい?」

「アシッドは私にやらせてくれないか?」

「っ!」

アシッドとマインドでは危険性ではアシッドの方が上だ。彼の能力の方が直接戦闘向きで、更に下手すれば一撃死もあり得る。

普通に考えればそんな相手に魔理沙を戦わせる事は出来ない。それはヒューマノイドも同じ考えだった。魔法使いとはいえ普通の人間である魔理沙よりかは、悪竜として名を馳せたアジをアシッドに相手させた方がずっと懸命である。

しかし、

「お願いだ、頼む」

魔理沙の目には覚悟があった。自分達の世界を簡単に壊させやしないという決意が見て取れた。横にいたアジも「やらせてやれ」という顔をしていた。

「分かった。無茶はするなよ」

ヒューマノイドはしぶしぶ了承した。確かにマインド相手に魔理沙でリーザを守りきれるかというと微妙な問題である。

それに、ヒューマノイドは知っていた。魔理沙があの時咲夜の言う通りにしか出来なかった悔しさ。そしてそんな弱い自分から脱却しようとしている意志の強さを。

(ここは魔理沙の成長に懸けてみるか・・・)

 

 

「へぇ、僕の相手は君なんだ。魔理沙ちゃんだっけ?よろしくね!」

「もう弱い自分は御免だ!私はお前に勝って、幻想郷を守るんだ!」

 

 

「悪竜、アジ・ダカーハ。大悪魔リーザ・ヴァルボロスト。相手にとって不足なし」

「いくぞリーザ・・・」

「おう!借りは返さねえとな!」

 

 

「・・・師匠」

ヒューマノイドは感覚を研ぎ澄ましていた。相手の雰囲気、仕草から精神状況を読み取り、相手がどのような動きをするか予測しようとしているのだ。

華扇は俯いたままだった。表情は前髪に隠れて見えない。常人ならそこから相手の心象を読み取ろうだなんて技は成せないだろう。ヒューマノイドも同じで、それは至難の業だった。

「安心してください。今、開放してあげますから・・・」

それでもヒューマノイドは何か感じ取っていた。それが何かは分からない。しかしマインドに囚われた華扇を助けなければならないという使命感が芽生えた。

二人の拳が交差する。