東方修行僧
「お前・・・とことん俺を馬鹿にするんだな」 「え?君に何かしたっけ?」 「もういい。殺す」 レイルは恐ろしい速さでヒューマノイドに近付いた。その速さに周りの空気が振動し、まるでレイル自身が轟いているような迫力があった。 レイルは勢いのままに拳…
「が・・・ぐう・・・」 霊夢は呻き声を上げ地面に倒れていた。傍らには自らの血で体が真っ赤に染まっているアリスと早苗がいる。 「ふん、博麗の巫女とは所詮その程度か。失望した」 「かっ・・・ひゅう・・・」 「お前はアザトースに任せなくても俺が始末…
ん・・・。 ん、ここは・・・? 何もないな、真っ暗だ・・・。 私はどうしたんだっけか? ああ、そうか。死んだんだっけな。 と、すると、ここは死後の世界? 何だ、以外につまらない場所じゃないか。もっとこう、天国とか地獄とかがあって・・・。 あ、幻想…
「『秘術「グレイソーマスタージ」』っ!」 溢れんばかりの星型の弾幕が辺りを埋め尽くす。それらは形を崩し、拡散しながらレイルを襲う。 しかしレイルは弾幕など気にも留めていなかった。それもそのはず弾幕はレイルの体に触れた瞬間消滅してしまうのだ。…
「本っっ当にすいませんっ!」 頭を下げる大妖精。 「ほらっ、チルノちゃんも!」 「え~、やだ」 ヴァルドが気が付いたとき、何故か自身の体が氷に包まれていた。それはもう凍死してもおかしくないんじゃないかという程に。 そしてそれは目の前で駄々をこね…
魔理沙は、一目散にヒューマノイドに駆け寄った。 霊夢は、手に付いた血を見ながら俯き震えている。 早苗は口元を覆って涙を流し始めた。 アリスはあまりに凄惨なヒューマノイドの姿に、思わず目を背けてしまった。 「何やってんだ!早く肉体を再生しろよ!…
世界が、揺れる。 地震だとか、地鳴りだとか、そんなレベルではない。 まるで世界が恐怖で震えているようだった。 レイルの足元に出来た魔法陣は細胞のように分裂し、拡散した。 地面に水玉模様のような斑点が描かれる。 「破壊と創造の狭間・・・‘‘混沌’’。…
「『霊符「夢想封印」』!!」 霊夢はスペルカードを唱えた。 発動と同時にお札やら大小様々の弾幕、更には巨大な陰陽玉まで展開する博麗霊夢きっての大技。そんな技を序盤にいきなり使用するのだから、如何に普段本気を出さない霊夢が今回に限って真剣にや…
「ん・・・ここは?」 ヴァルドは目を覚ました。そこは全く知らない湖の畔だった。 「俺は確かボスと話してて、それで・・・っ、ボスっ!」 ヴァルドは勢いよく立ち上がった。 「ボスは死ぬ気だ・・・。ボスを、止めないと・・・」 ゆっくり一歩、また一歩と…
ヒューマノイドと華扇。二人の決闘は熾烈を極めた。現在までに至る戦闘技術、パワーを駆使し戦うヒューマノイドに、妖怪ならではの圧倒的な破壊力と耐久性を持って迎え撃つ華扇。二人のいた場所は木々が薙ぎ倒され、大地は抉られ、如何に修羅場であったかが…
「う・・・」 「あら、気が付いた?」 「お嬢様・・・」 咲夜は起き上がろうとする。が、体中の痛みがそれを妨げ、彼女に肘をつかせた。 その様子を見たレミリアは、慌てて咲夜を支える。 「咲夜、大丈夫?」 咲夜の体を気遣うレミリア。 しかしレミリア自身…
時間は少し遡りーー。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「中々にしぶときものよ。だがいつまでもつかな?」 「くっ!」 アジは態勢と立て直す。一体何回こいつを殺したのだろうか?二桁、いや三桁はいったかもしれない。しかしマインドは尚もピンピンしている。 対…
「ふ、ふざけたことをぉぉぉおっ!!」 アシッドは手を前に突き出す。 その動作に呼応しアシッドの周りの酸が魔理沙を溶かしてくれると言わんばかりに発射された。 「甘いぜっ!」 魔理沙は半ば余裕の笑みを零しながら放たれる酸を軽々と避ける。 (ならば、…
「ほらほら避けろ避けろ~」 アシッドの溶解液が断続的に放たれる。勿論一度でももろに喰らったらゲームオーバーなのだが・・・。 「ふん、こっちは避けるスペシャリストだぜ!」 魔理沙がそう豪語するように、幻想郷の住民は弾幕ごっこという遊戯の中で動体…
二人の拳が交差する。刹那、激しい衝撃波で周辺の木々が木片と化した。 両者の勢いはまだ劣らない。ヒューマノイドはすぐに逆の手で華扇の顔面めがけ拳を突き出すが、華扇はそれを払いのける。 上手く力を受け流されたヒューマノイドは一瞬バランスを崩した…
「お前まだ動けたか!また厄介なのが増えたぜ・・・」 「弱い奴程よく吠えるってね」 何だと!と魔理沙がアシッドに食って掛かろうとしたところをヒューマノイドは慌てて止めた。 ヒューマノイドも情報だけなら知っている人物。魔理沙と霊夢、更には萃香とい…
ガシッ。 「ッ!」 今度は華扇の方が背負い投げをした。 (速いッ!) ヒューマノイドの体が宙に舞う。そして頭から地面に・・・。 ところがヒューマノイドは思いっきり体をくねらせ、体が地面に着くギリギリのところで両足で着地した。 その衝撃は両足の周…
「妖怪だって!?他の世界から妖怪が来てるのか!?」 「何も不思議ではないだろう、幻想郷の様な世界が他にあったところで」 「で、何の妖怪なんだ!?」 「それは・・・」 アジはそっと空を見上げた。 ヒューマノイドは腰の辺りから二丁拳銃を取り出した。…
「全く、お前こんなにトロかったのか?」 「五月蠅いなー。そんなに焦る必要もないだろう?」 そういって、茂みえを掻き分けながら男は姿を現した。 身長おおよそ165センチ。体つきがよく、見かけによらず丁寧な口調。それはマインドもリーザも、アジも予…
「はっ!」 「ふんっ!」 勇儀と聖、二人の拳が交差する度に莫大な衝撃が周囲に巻き起こり、木々は皮を削がれ、土は身を抉られていく。 二人の勝負は全くの互角だった。このままでは同じタイミングで両者が倒れるか、ひょんな事からどちらか一方だけ生き残る…
「鬼相手にスペルカードは無用っ!」 聖がエア巻物を翻すと、それに伴い聖の体が赤黒く発光する。 「かかってきなっ!」 勇儀がそういった瞬間、聖が視界から消えた。 「っ!」 勇儀が気付いたときは既に聖は勇儀の背後に回っていた。 魔法で極限まで強化さ…
ここはどっかの森ーー。 「WRYYYYYYYYYYYYY!!行くぞ行くぞぉぉぉぉおっ!!」 「少しは落ち着いたらどうなんだ・・・」 アジとリーザ、紅竜玉神殿に住まう二人の荒くれ者は今、ヒューマノイド奪還に向け張り切っている。 そのスピードたるや、天狗に勝ると…
「はぁっ・・・はぁっ・・・」 「逃がすか!追えッ!追えッ!」 「くっ・・・」 逃げ続ける魔理沙に、敵の追手は容赦なく襲い掛かる。 「よし、掃射!」 鉛弾の嵐が魔理沙に浴びせられた。 魔理沙はなるべく狙いを一点に集中させまいと上下左右不規則に動き…
その頃別の場所では、幽香と勇儀、レミリアの三人が命蓮寺組と対立していた。 「あらあら。命蓮寺の尼僧さんがこんなところで何を?」 「さあ、何故でしょう。急に倒れてしまって気が付いたら体の自由が利きませんでした」 「奇襲・・・また残酷な運命ね。真…
「おーい!いるかー?」 ここ、魔法の森では魔理沙と咲夜がヒューマノイドを探していた。 「いるなら返事しろー」 「ここには居ないみたいね」 「そうだな・・・うん?あれは・・・」 魔理沙が目を凝らした先には、ピンク色の短髪で水色を基調とした服を着た…
「・・・ってことだ。助力をしてくれないか?幽香」 「あら、そう。私が行くとすぐ終わりそうだけど?」 「ならすぐ終わらせてくれ。こっちにも思うところがあるんだ」 「ふ~ん・・・。まあ気を付けなさいね」 「こっちの台詞でもあるんだがね」 幽香は最後…
「ふー、手こずらせたわね」 咲夜は手に付いた汚れを払ってそう言った。その傍らには、兵士達が怯えた様子で蹲っている。 「何だあの女・・・、本当に一瞬だった!一瞬の内に姿を消し、一瞬の内にナイフを投げ、そして一瞬の内に俺らの武器を全部使えなくさ…
「プルルッ!プルルルッ!」 それはヒューマノイドが普段つけているスライドヘッドホンから流れた音だった。勿論外部には漏れていない。 「萃香ちゃん、ちょっと耳を塞いで後ろを向いてくれないかな?」 「おー分かったー。鬼は約束は破らないからな」 萃香…
「ぐあぁっ!」 衝撃と共に華扇の体が宙に舞う。それは突然のことであり、華扇は受身も取れず地面に叩きつけられた。 「・・・まずは一発。これでまた、汝は我が手駒に近付いた」 崩れた壁から出てきたのは体つきがよく大柄な男。眉間には常にシワがよってい…
今、幻想郷では各地で激しい戦闘が繰り広げられている。 弾幕と銃弾が飛び交う嵐の中、両者とも負傷者が続出していた。 「ぐっ・・・あっ・・・」 「大丈夫だ!傷は浅い、応急処置をすれば何とかなる!」 「痛い・・・痛いよぉ・・・」 「くっ・・・!(この…