yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

レギオンズ支部の仕事初め その7

「・・・」
「・・・」
「兄ちゃんと嬢ちゃんが俺の相手かい?」
その悪魔は、無骨で不敵な笑みを浮かべて佇んでいた。
一言で言えば、不気味だ。
「俺の名前はゲシュビルってんだ。よろしくな」
「・・・グロウだ」
「アランよ」
「そっかそっか」
言葉だけなら、至って友好的なのである。が、ゲシュビルの顔に貼り付けられている笑顔は決して交流目的のものではなく、目の前の獲物をどうしてやろうかと気分が高揚しているものだ。
「じゃ、早速取り掛かるとしますか」
と同時に、ゲシュビルは動き出した。
と思ったら、既にゲシュビルは俺に肉薄していた。
「くそっ!」
さっきも目の当たりにしたものだが、やはりそれは人間の速さを遥かに凌駕するものだった。
レイルの元で修行してる俺なら認識なら出来るが、それまでだ。
対応する事は出来ない。
「っ!?」
拳底を防ぐのは諦め、受け身を取る事に専念する。
額が割れる程の衝撃が走るが、瞬時に臨戦態勢を整える事が出来た。
これで、二発目だ。
「ほお、良い対応じゃないか。伊達に帝国が頼る組織なだけある」
「まだ初仕事だけどな」
そういいつつもアランの方を見ると、何か察したように頷いた。
いや、察したのは確かだ。
「んじゃ、返すぜ」
右足を踏み込み、右側を前にして半身を作る。
それは途轍もなく、遅い動作だった。
「悪魔に通用するとでも?」
完全に踏み込んだ瞬間、ゲシュビルはまたも俺の前に接近する。
が、肉薄まではいかない。俺に肉薄してるのはまた違う奴だ。
「任せて!」
アランだ。アランが両手を地面につけると同時に、鋼鉄の壁がアランの前に現れる。
『鋼鉄壁(アイゼンヴァント)』。まさしくな名前をした技はアランと俺を守るように展開された。
「はっ!鉄、ねえ!」
壁越しにゲシュビルの嘲笑が聞こえる。
「そんなものが、悪魔に通用するとでも思ってんのかァ!!」
鋼鉄の壁はいとも容易く破壊されてしまう。
「はっはっは!」
ゲシュビルの口元が避けるのではないかというぐらい広がる。
だが、これでゲシュビルは攻撃のポイントを間違えた。
「あ?」
アランは既に俺の背後に移動し、ゲシュビルには俺が相対している。
壁を破壊した反動で無防備となっているゲシュビル。
そして今俺の中には、最初の奇襲で貰った一発とさっき貰った一発、合わせて二発分のエネルギーが蓄えられている。
俺の「受けた衝撃をエネルギーにする」能力によって、だ。
「二発分、きっちり返すぜ」
ゲシュビルの体が拳が直撃すると共に、宙を舞った。


「おらぁ!避けてみろ!」
その悪魔は大きな岩を投げ飛ばしてきた。球体をしたその岩はプロ野球の投手なんか幼稚園レベルに見える程、速かった。
勿論、食らったらひとたまりもない。
が、
「避けるまでもないねぇ!」
僕は瞬時に全身を酸で覆った。飛んできた岩は酸に触れた瞬間にその形を失くしていく。
ひとたまりもなくなったのは、岩の方だった。
「ふむ、中々やるな」
「悪魔に褒められるなんて、光栄だね」
「それはそれは。俺はミジェラグル」
「僕はアシッド」
再度、構え直す。
「悪魔に酸がきくかどうか、試したくて仕方ないよ」
とは言いつつも、無闇に突っ込むつもりはない。
僕に能力があるように、ミジェラグルにも能力が無いとは限らない。
とすると、最初は保守的に出て相手の実力を探るしかない。
「爆発(イクスプロージョン)」
そう思っていたから、突然の爆発に僕は対処できなかった。