yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 26

「ふー、手こずらせたわね」

咲夜は手に付いた汚れを払ってそう言った。その傍らには、兵士達が怯えた様子で蹲っている。

「何だあの女・・・、本当に一瞬だった!一瞬の内に姿を消し、一瞬の内にナイフを投げ、そして一瞬の内に俺らの武器を全部使えなくさせやがったッ!何を言ってるのk((」

幻想卿のある程度の実力を持った猛者達なら、彼女が『時を操る』事が出来るということを知っている。しかしそれを知らない兵士達は突然目の前で起こった事を頭の中で処理できず、恐怖していたのだ。

ヒューマノイドの危惧は外れだったのかもしれない。これが幻想卿の民の実力、一般の兵士とは圧倒的に格が違うのだ。

「もう戦えないでしょうね。貴方達は幻想卿の怒りに触れた」

「カッコつけるのもいいけどさー」

突然背後、それも耳元で発せられた言葉に咲夜は驚いた。

(敵っ!?)

咄嗟にナイフを手に持ち、後ろの人物に突き刺した。

「痛っ!?いやちょっといきなり何するのっ!?」

ニット帽にスライドヘッドホンをした少年(約4000歳無職)。それは紛れもなくヒューマノイドだった。

「いや普通に脇腹刺さってるからね!?普通の人なら死んでるからね!?」

慌てふためくヒューマノイドとは対照的に咲夜は落ち着いた様子で言った。

「いえ、女性にとっての敵を排除しようと思っただけです」

「いや何瀟洒を保ってんの。てか私はこれでも紳士だよ?変態という名の紳士とかそんな某ギャグ漫画日和的なノリじゃないからね?」

「それで?何の用かしら?」

「そうだよそうだよ!実は博麗神社でもの凄い轟音が鳴ってね、幹部である可能性が高い。今すぐ加勢しにいってくれないか?」

「貴方はどうするの?」

「他の人を呼んでくる。相手の幹部は聞く限り強力な能力を持っている。一刻も早く多くの応援が必要なんだ」

「分かった、すぐ向かうわ」

「私もある程度の人数を集めたらすぐ向かう!」

咲夜は博麗神社に、ヒューマノイドは引き続き味方の部隊の元へ飛んでった。

 

 

「何なのよコイツ、弾幕が効かないじゃない!」

「僕は何でも溶かせるからね~。それはもう驚くほどに、何でも」

「ならこれはどうだ!『恋符「ファイナルスパーク」』!」

極太のレーザー砲がアシッドに向けて放たれる。

「甘い甘い!」

しかしそれはアシッドの酸に触れた途端に消え失せた。

「だから何でも溶かせるんだって。理屈じゃなく、何でもね」

「くそっ!ガリガリな癖してやるじゃねえか!」

「あーめんどくさい!」

「そろそろ遊びもやめよっかな~」

突如、アシッドの体から酸が津波のように襲い掛かった。

「うわっ!」

「『境界「二重弾幕結界」』」

霊夢魔理沙弾幕で出来た結界に囲まれた。それらの溶解の為に酸はその進行を鈍らせ、霊夢魔理沙は間一髪酸を避けれた。

「僕の酸でもそのスピードか・・・やっぱ骨があるねぇ」

「こっちはギリギリだっつうの!」

「はい次」

絶え間なく酸はアシッドの半径10m圏内から噴出する。どこから来るか分からない一撃必殺の液体に二人は多少の恐怖感さえ覚えた。

「これじゃオチがつかないわ・・・」

「ふふふ。いつまでもつか

直後、地鳴りが起きた。

そしてアシッドの足元に大きな亀裂が走り、アシッドを飲み込まんと大きく開いた。

「おっと!」

手足の長いアシッドは大股になり、亀裂を軽々跨いだ。

「おやおや。幻想卿最強の種族、鬼様のご登場ですか」

「大体能力は見させてもらったわ。酒を交わす仲の二人を傷つけることは、許さないよ」

「いや困りましたね~。人間の僕が鬼に敵うでしょうか」

その言葉とは正反対にアシッドは細い目を見開き、溢れんばかりの敵意の眼差しを向けた。

「まぁ溶かしちゃえば種族なんて関係ないけどね!」

先程とはくらべものにならないぐらい大量の酸が噴出した。アシッドの本気である。

「っ!」

萃香はその酸を「萃める」。酸は萃香の頭上に集中した。

「あんたは自分自身の酸に耐性がない。下手すると自らの能力で身を滅ぼすことになる」

「いい推察だ。で、それを僕にぶつけると」

「ご名答。喰らいなさ・・・」

「いや、あんまナメないでよ?」

すると萃香の中に確かに萃めたものが崩れた感覚があった。

慌てて上を見ると頭上にあった酸が自分に向かって降ってきた。

「っ!」

「僕の酸だよ?僕の方が操る力は強いに決まってるじゃないか」

もの凄い速さで酸は近づいていく。一メートル、五十センチ、二十セン・・・

「私達を忘れてもらっちゃ困るわ」

「っ!?」

アシッドが振り向いた先には霊夢魔理沙がいた。

「主人公が何もしないでただ見てるだけだと思ったか?」

「『霊符「夢想封印」』!」

「『恋符「マスタースパーク」』!」

双方がスペルカードを唱える。どちらも二人の代名詞とも言える技だ。

「くっ!」

アシッドは萃香の頭上にあった酸を全部移動させ、弾幕の前に展開させた。強力な酸によってアシッドにダメージを負わせることは出来なかったが、萃香が溶ける事態は免れた。

「危なかったわね、萃香

「すまない。恩に着る」

「まだ来るぜ!」

「これ程とは・・・。僕も本当に集中しないとな」