yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 23

今、幻想郷では各地で激しい戦闘が繰り広げられている。

弾幕と銃弾が飛び交う嵐の中、両者とも負傷者が続出していた。

「ぐっ・・・あっ・・・」

「大丈夫だ!傷は浅い、応急処置をすれば何とかなる!」

「痛い・・・痛いよぉ・・・」

「くっ・・・!(このままでは死者が出兼ねない・・・皆の命が最優先だ・・・!)総員撤退!負傷者の護送に移る!」

敵陣営から罵倒の声が出る。ヒューマノイドは気にせず妖怪や妖精達の撤退を援護する。

「ヒューマ!敵の追撃が激しくて思うように撤退出来ない!」

「よし、私が殿軍を努めよう。君ははその内皆を永遠亭に!」

「分かったわ!」

妖精が味方の元へ飛んで帰る。

殿軍とは、味方が撤退する際に一番最後尾につき、敵の追撃をあしらう言わば囮とも言える役割だ。

少数で敵に応戦しなければならないので、その身が危険に晒されることになるのは確実だ。

ヒューマノイドは敵部隊と相対した。強烈な気迫を放つその姿に、多勢とはいえ敵部隊のおおよそが息を飲んだ。

「撃てっ!撃てっ!」

ヒューマノイドに向けての一斉掃射が始まった。明らかにヒューマノイドに向けられていない銃口は、流れ弾を後方の妖怪、妖精に当てる為であろう。

「させないっ!」

ヒューマノイドを中心に幅30m、高さ15m程のロンズデーライトの壁が出現した。横殴りに降る銃弾の雨は、壁によって跳ね返された。

超電磁砲用意ッ!」

その号令で部隊を割って出てきたのは巨大なレールガンであった。外の技術ではまだ未完成の筈なのだが、それを完成させる程この組織の技術は高かった。

「発射!」

レールガンが電気を帯び、発射体制に切り替わる一瞬。その一瞬でヒューマノイドはロンズデーライトの腕を伸ばしレールガンを破壊した。

しかし、ヒューマノイドは攻勢に転じない。能力を使って戦うとその威力ゆえ肉や骨が砕け散って最悪死に至る可能性がある。ヒューマノイドはそれだけは避けたかった。

しかし能力を使わずとなると流石のヒューマノイドも相対した敵部隊を一掃することは出来ない。ゲームとは違うのだ。

「殺す勇気もないかっ!?やはり貴様は青臭い少年に過ぎぬッ!!」

隊長と思わしき人物の手から火が吹き出しヒューマノイドを襲った。ヒューマノイドは横に避ける。

「私の能力、火とッ!この銃弾の嵐を前に敵を殺さずどうするかなッ!」

「・・・」

 

 

ーー永遠亭。

「負傷者が多すぎます!どうします師匠!?」

「困ったわね・・・。でも死亡者がいないというのはやはり彼のおかげね」

次々となだれ込む負傷者。皆苦痛に満ちた表情を浮かべている。

(ヒューマ・・・そろそろこちらも本気を出していい頃よ・・・)

 

 

「あら、貴方がヒューマが言っていた取り巻きって奴ね」

「あらら、情報が筒抜けなんだねー!もしかして裏切り者でもいるのかな~?」

「何ニコニコして、気色悪いわね。残り部隊ってのはこんな気持ち悪いのしかいないの?」

限りなく目が細く、華奢な体つきの背の高い男性。その体はとても戦闘向きとは思えない。

「なぁ霊夢。ここは私らでなりそうな気がするぜ」

「ええ。博麗の巫女としても負ける訳にはいかないわ!」

「うんうん!いい目だ。僕はアシッド。『酸』の意味を持つ」

元々笑みで横に広がっていた口が、裂けてしまうのではないのかという程広がった。その不敵な笑みは場を緊張させるのに十分だった。

「君らも溶かしてあげるから、全力で死ににきな!」