東方六方晶 ~第9話:咲夜さんは俺の最初の嫁だったりする~
「メイドさんがなんだっていきなり現れて来客をぶん殴るかね・・・」
「美鈴、怪我はしてない?」
「いえ、大丈夫です。それよりあの人、気を付けた方がいいですよ」
「分かってるわ。貴方がこんなに一方的にやられていたんだもの・・・気を付けない訳が」
「いんや。美鈴ちゃんだっけ?君本気出してなかったでしょ」
「?そうなの?」
「ええ。様子見といきましたが・・・私の腕力を利用して逆上がりなんて、粋なことするじゃないですか」
「そりゃどーも」
そこまで会話すると、呼応したかのように双方は臨戦態勢をとった。
(美鈴、近距離からはお願いね)
(分かってます咲夜さん。なるべく多くの隙を作るのでそこをお願いします)
(恐らく相手はこっちの実力を把握した筈・・・戦闘において相手の実力を知るということはかなり重要なこと。しかしこちらはというと手加減されたから本当の実力も分からず終い。あのメイドさんもどんな力があるか全く分からない。こりゃ完全に不利な状況となったな・・・)
最初に動いたのは美鈴だった。
その美しい足からは考えられないとてつもないスピードでヒューマノイドとの距離を詰める。
「(考えてる暇はねぇってか・・・)ちっ」
最初の一撃は軽く受け流した。
しかし相手もそれを予測しすぐに次の一手を繰り出す。
息つく暇さえない格闘の最中でヒューマノイドは考えていた。
(あのメイド、何もしてこないな・・・)
目の前で激しい戦闘が繰り広げられているのに対し、咲夜はただ立っているだけだった。
(何か策があるのか?それとも普通の人間だから、この戦闘に介入出来ないとか・・・違う。そんなことはないはずだ・・・)
「隙ありですっ!」
物思いに耽っていたところを美鈴は突こうとした。
「おっと!」
ヒューマノイドは対応に遅れ、ギリギリのところでの回避となった。
慌てて次の一手・・・と対応しようとした瞬間、また不可解な現象が起こった。
メイドが消えたのである。
目を離した隙にというのではなく、一瞬で視界から消えたという感じだった。
(まさか、瞬間移動かっ!?)
そう考えた矢先、突然後ろから何者かに背中を殴られた。
「ぐっ!」
後ろ見るとそこにいたのは先程視界から消えた咲夜がいた。
(なっ・・・!)
成す術も無いまま全身が前に倒れる。
受身をとろうとするが、その考えは目の前いた美鈴によって阻まれた。
「はぁーーーーっ!!」
彼女が集中すると、拳の周りにオーラのようなものが発生した。
(これはもしかして・・・『気』ってやつか!?)
「ふんっ!」
美鈴はその拳でヒューマノイドに打撃攻撃をお見舞いした。
通常の何十倍もの力を受け、ヒューマノイドは空に打ち上げられた。
「いって・・・」
着地したところを狙われたらいけないと、ヒューマノイドは空中で身構える。
その時だった。
「!?」
突如周りがナイフで埋め尽くされた。
そしてそれはヒューマノイドに向かっていった。
また成す術もなく、ヒューマノイドは四方八方から串刺しにされていく。
次回、ヒューマノイド死亡・・・?