World travel episode 2 ~クトゥルフ神話編 part 11~
「・・・調子はどう?」
「・・・悪くない・・・」
ご近所さんとの格闘が終わり、俺達が優綺ちゃんの家に着いてから数時間後。
那奈ちゃんも大分落ち着いた。
「暴走していた頃の記憶は?」
「・・・ある。しっかり。」
「聞かせてもらえないかな?」
コクンと、那奈ちゃんは頷き、ゆっくりと話始めた。
「・・・何か気持ちが高揚して、力が漲ってきて、でも怖かった。自分が、自分じゃない気がして」
体がカタカタ震えている。
「・・・そっか。大変だったね」
「怖いの、もう嫌。助けて・・・」
(可愛い・・・)
「ゲフンゲフン・・・僕なら、助けてあげられる」
「・・・!」
「でも、確証は無い。もしかしたらまた暴走しちゃうかもしれない。でも、何もしないよりはマシなはずだ」
「・・・」
「どうする?」
「・・・治るの?」
「治ることは治る。ただまた暴走しちゃうかもしれないだけだ」
「なら、私もお前たちに着いていく」
「・・・ありがとう」
「どうだったんですか!?」
「落ち着いて優綺ちゃん・・・ちゃんと承諾してくれたよ」
「良かったぁ~」
「・・・本当にいいの?予定通り明日出発するけど・・・君達がついてくる必要は無いんだよ?」
「・・・その確認なら前にしたはずです。今更変える気持ちはありません」
「そうか・・・じゃあ今日はもう寝よう。明日は・・・本当に過酷な戦いになる」
「はい。覚悟してます」
「それじゃおやすみ」
「おやすみなさい」
優綺ちゃんは自室に戻った。
「じゃあ皆も。こんな遅い時間まで付き合わせちゃってごめんね」
漢太達はそれぞれ家に帰った。
ー某ホテルの一室ー
・・・またこういう展開か・・・2068年前のあの日もこんな感じだったかな・・。
(無理だよ・・・あんなのに勝てる訳無い・・・)
・・・。
(もうお終いなんだ・・・俺達皆・・・!)
クソッ・・・。
(貴方だけは・・・生きて!!)
「ぐっ・・・アアアァァァァァァァアッッ!!」
ハァッ・・・ハァッ・・・。
今更悔やんでも遅いだろ・・・。
そんなことより今は次を考えないと・・・。
絶対アイツだけは呼び出させちゃいけない・・・アイツだけは・・・。