World Travel episode 2 〜クトゥルフ神話編 part 1〜
はぁ〜。
どうしよう、甘く見ていた。
仕事なんて次から次へと来るだろうと思ってた。
なんだよこの状況、放浪者同然だ。
考えてみればあんな大規模なギルドにすら仕事は全然無いのに一人でぶらぶら呑気に旅してる奴に来るはずなかった。
何で気付かなかったんだよ、俺。
「はぁ〜」
とうとう声にまで出てしまったか。
「すいません。助けて下さい!!」
その声に振り返ると高校生ぐらいだろうか?女の子がこちらに走ってくる。
ってかめっちゃ可愛い。
「いや〜どうしたんだいお嬢さんこんなところで」
やけに上品に振る舞う。
これでつかみはばっちりだ。
すると女の子はそのまま俺の後ろに隠れた。
「え、いや、ちょ、それは早いんじゃwww」
まぁ実際は立ち位置が逆だが。
「何言ってるんですかちょっと・・・」
盛大に引かれた。まぁ今までの全部冗談だからいいか(涙目)
「っていうか助けて下さい!!変な人達に追われてて・・・あ、来た!」
そういって少女が指さした方を見ると、ちょっとガタイがいい3人の男が走ってきた。
「・・・よくあんなの3人から守ってって明らかに子供である俺に言えたな」
「ほんとすいません・・・でもお願いします!」
可愛い顔してとんでもない事言うもんだ、と思った。
「いたぞあのガキ!!ってあぁ?何だ兄ちゃん。そこどけよ」
気が付くとチンピラ3人組はすぐそこにいた。
「ええと・・・この人達から守ればいいんだよね?」
「は、はい!!」
「はぁ!?何言ってんですかねこのガキ。早くやっちまいましょう!!」
「そうっすよ兄貴!!」
「それもそうだな」
こいつら・・・相手の技量も測れていない。
俗に言う雑魚キャラってやつか。
(今すぐ倒してもいいんだが・・・)
「お嬢さん。こいつらぶっ倒したらデートしてくんねぇ?」
「デ、デート!?」
俺の誘いに、案の定少女は戸惑いを見せた。
「い、嫌ですよそんなの!!」
「え〜いいじゃ〜ん。あ、もしかして彼氏いんの!?もしくは好きな人とか!?」
「え、えぇ!?いや・・・その・・・」
「いないんだったらデートしようよぉ〜」
「っ・・・い、います!!幼稚園の頃からずっと好きだった人が!!」
「・・・本当?」
「ほ、本当です!!」
「お〜け〜お〜け〜」
ふと、3人組の方を見た。
3人は明らかにそんなことはお構いなしという顔をしている。
「へぇ〜。そうか〜」
そういって俺は、またたく間に3人を再起不能にしていった。
「・・・っは!?」
3人が目を覚ました。
その体は縄で拘束されている。
「こ、これは!?」
「俺がやった。ていうか聞きたいんだけど・・・君達ってただのチンピラじゃないよね?」
「っ!?」
「あ、図星って顔してる。だってそうだよ。普通のチンピラだったら目の前で標的が狙われたら怒る筈だもん」
「くっ!?」
「でもさ・・・僕が見た時の君達の顔、明らかに『そんなことはお構いなしという顔』だったよね?」
「な・・・!」
うろたえ方もまさに雑魚キャラだ。
「さぁて、聞かせてもらおうか・・・君達は何者なんだい?誰にどんな命令をされてこの少女を追っかけてたんだい?」