yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

レギオンズ支部の仕事初め その5

「走れ!」
増援部隊を尻目に俺は叫んだ。
取り敢えずアシッドは確保した。後はアランだけなのだが、介渡が言っていた増援部隊が俺達を逃すまいと追いかけてくる。
「どうすんだヴァルド、キリがねえぞ!」
グロウが焦りを顔に浮かべる。それは俺も同じだ。この状況を打破する方法を模索しているが、良い案なんて思いつかない。
そんな時に、ぽつりとマクロが呟いた。
「僕ならあの人達、相手に出来るかもしれない」
・・・そうだった。
「よし、任せた」
我ながら現金な事だが、ほぼ即答だった。
だが、それは俺がこいつに全幅の信頼を置いているからだ。そういう事にしてくれ。
「さあ、早く行って!」
マクロが走る速度を落とすと共に、俺達三人は運ぶ足を速めていった。
マクロとの距離が、どんどん開いていく。


・・・どれぐらい経ったか分からない。
気付けば真っ暗な部屋に投獄され、手足を枷で拘束された。
体の自由と共に、体力が奪われていく。
「うっ・・・」
昔にもこんな事があった気がする。まだ10歳を過ぎた頃の事だ。
嫌な思い出だった。
むさ苦しい男達に陵辱され、服を脱がされ、辱めを受け。
レイプまではされなかったが、今でも深い傷を負っているのは確かだ。
だから、そういうのに動じない女を演じた。露出の多い服を着て、破廉恥な女に成りすまして、「この女に辱めは効かない」と周囲に錯覚させる為に。
恥ずかしさを捨て、自分を守った。
「それでも、結局こうなっちゃうのね・・・」
私は役立たずだ。レイルの元では隊長なんてやってたが、
肝心な所でミスをするし、詰めが甘いし、それによって周りに迷惑を掛けてしまう。
やっぱり私には、介渡に、ヴァルドに、そして、グロウについていくのは、無理なんじゃないかなぁ。

ならもう、やめてしまおう。

自分と同じ境遇の人を減らしたいから今まで戦ってたけど・・・。

もう、私には耐えられない。

こんな日々、耐えられない。

なら全部投げやりにして、大好きだったあの人も諦めて、

この先の人生、ひっそりと暮らしていこう・・・。

諦念がついた私は、段々と意識が遠のき・・・。

『本当に君は、それでいいのかい?』
薄れゆく意識に、無理やり入り込んでくる声。
『君が全てを諦めるのは、構わないさ。でもそれで、君は本当に「ひっそりと」暮らしていけるのかい?』
聞いたことのある声。思い出せそうだが、この声の持ち主が誰であろうとどうでもいい。
私は、もう・・・。
『馬鹿馬鹿しい。何時までそうやって自分を縛っているつもりなんだ』

『全て駄目だと思い込んで、自分には無理と行動を規制して』

『その手枷足枷をはめてるのは誰だ!?自分自身じゃないか!』

『目を覚ませアラン。君にもう拘束具はついていない』

『君を縛るものなど、何もない』


「これは・・・」
凄惨な状態だった。いや、決して血が飛沫しているとかではない。
だが、山のように気絶した兵士が積まれてるこの状況を、凄惨と呼ばずに何と言えばいいんだ。
「アラン!?大丈夫か!?」
奥の一室で、アランが横たわっていた。
服はボロボロで、所々に華奢で美しい白色の肌が露出してしまっている。
グロウが誰よりも早く駆け付けた。
「大丈夫だ、息はしている。しかし、既に枷が壊れている・・・?」
グロウは不思議そうに枷を見つめている。
成る程、どうやら一足先に介渡が来ていたらしい。
「一先ず撤退だ。態勢を立て直し、アシッドとアランの容態が安定したらーー」
ドゴーン!
天井が思いっきり壊れた音で、指示は掻き消された。