yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

レギオンズ支部の仕事初め その3

「ここからは別行動だ」

暫く進んだところで唐突に介渡がそう言った。

「グロウ、マクロ、ヴァルドの三人は上から、アラン、アシッドの二人は地上から、それぞれお互いのチームをカバーしながら進んでいってくれ」

「あんたはどうすんだ?介渡」

「私は単独で行動させてもらう。コースは自由にやるから、途中で会うかもね」

 

 

って事で別行動をしてますヴァルドです。

「さて、気を引き締めなおしますかー・・・」

混沌がいると思われる地点まで大した距離は無い。しかしそれは逆に、警備も厳重になっているという事を指し示す。

現に、敵の数は圧倒的に増えている。

俺は取り敢えず、無線機に喋りかけた。

「アシッド、そっちはどうだ?」

「君の思ってる通りだと思うよ。こっちもかなりの数がいる、突破するのは難しそうだねぇ」

「了解。何かあった時に備えて無線はつけっ放しでいくよ」

「分かったよ」

俺は麻酔銃を手に取った。拳銃型で対人用の麻酔銃。本来こういうタイプは一発弾を撃つ度にリロードしなければならない単発型なのだが、これはいちいちそんな事しなくても一度のリロードで何発かの麻酔弾を使用する事が出来る。麻酔は対人用の効力・大きさになっており、射出される瞬間に弾力の大きいゴム製のクッションが着弾時の衝撃を軽減。そしてクッションが縮むと共に内部の麻酔針が刺さり敵を眠らすという仕組みになっている。通常の火薬を使用するのでマガジンを通常弾にすれば普通のハンドガンとしての使用も出来る優れものだ。

他にも銃身は距離の出るロングバレル。人や動物に照準を合わせると熱源を感知してフレーム部分が赤く光る低倍率のオリジナルレットドットサイト。ハンマーは衣服への引っ掛かりを防止し隠密に向いているリング状。他にも拳銃離れした性能を誇っている。

・・・いや、どうやって作ったんだよこれ。

「グロウは右、マクロは左の遮蔽物に身を隠せ。俺の合図で、まずは前の三人を始末する」

勘付かれないようにか細い声で指示を出すと、二人は頷いて驚く程のすばしこさで所定の位置についた。

「3、2、1・・・」

って、口で言う訳無かろう。手でそのように合図を送り、最後に親指を立ててゴーサインを送る。

一斉に三発の麻酔弾が飛び、一気に三人の兵士が無力化する。

よし、ここからだ。

俺は目先のコンテナに石ころを投げた。コンッという乾いた音が辺り一帯に鳴り響く。

「ん?敵か?」

一人の兵士が声を上げると、その場にいた兵士達が一斉に銃を構えた。

その間に俺は少し前へ進み柱の影に、二人は壁際まで散開していった。

「お前、ちょっと見てこい」

仲間に促され、一人の兵士が近付いてくる。

一歩、二歩、三歩・・・。

よし、ここだ。

「ぐっ!」

腕、胸倉を掴み柱の影に引き込む、そのまま肘に相手の二の腕を挟み込み、相手の懐に入って投げ飛ばした。

投げ飛ばされた相手は壁に貼り付けられ、そのまま気絶した。

「何だ!」

不信し思った兵士が様子を見に来る。俺はその隙に気絶した兵士をコンテナ裏に運び、横たわらせた。

すぐに身を隠し、敵の兵士は俺では無く倒れた兵士に釘付けになる。

「何だ、誰にやられ」

そこで兵士の意識は途絶えた。

グロウが視界の端でグッドサインを出すのを捉えながら、更に前へ進む。

遮蔽物に隠れながら敵兵の数を確認する。

五人。よし、行けるな。

俺は暫くその場で待機し、タイミングを見計らって飛び出した。

一気に二人に麻酔銃を撃ちこみ、そのまま駆け足で徒手格闘術を叩き込む。

CQC。‘‘Close Quarters Combat(クロース クウォータース コンバット)’’。空手や中国武術、マーシャルアーツ等様々な武術の他ワイヤーやナイフ等の小道具を駆使して戦う近接格闘術の事で、レイルからそのノウハウはみっちり教え込まれている。

二人の兵士にサブマシンガンを構えられるや否や一人をもう一人の方へ投げ飛ばし吹き飛ばす。倒れ込んだ相手の頭に麻酔銃を撃ち込む。

と、ここで最後の一人がハンドガンを構えているのを目視した。ここからじゃ、間に合わない。

・・・が、既に手は打ってある。

「終わりだ・・・うぐっ!」

トリガーに指が差し掛かった辺りで、兵士は力無く前に倒れた。

そして背後には、マクロが麻酔銃を持って構えていた。

「ナイスだ」

「そりゃどうも」

麻酔銃をホルスターに収めた。

「良い連携じゃん?」

グロウが遅れて輪に入ってくる。

とにかく、これでまた前進した。混沌の居る所はもう目の前といっても過言ではない。

が、その前にやるべき事がある。

「上の奴らの手助けしねえとな」

俺達三人は、一斉にコッキングをした。

 

 

「・・・よし」

あらかた片付いた。これでアシッドとアランも攻略が楽になるだろう。

・・・それにしても、遅い。あの二人ならもっと早く着くと思うが、流石に人数的に苦戦しているのか。

嫌な予感がする。何かとてつもなく・・・・・・。

『プルルルルルッ!!』

「っ!?何だ!?」

「どうしたんだヴァルド」

「いや、無線だ」

突然かかってくるもんだからつい声を上げちまったぜ。

アシッドとは繋がりっぱにしてたから、介渡か?

『もしもし~ヴァルド~』

当たった。

「どうしたんだ?こんな時に」

こいつはいつでも暢気な奴だ。と、しみじみ感じる。

『いやさ、アシッドとアランって今一緒かい?』

「いや、いないが・・・」

『そうか・・・』

溜息交じりだった。自分の中の不安感が一層増していく。

『やっぱり、捕らえられたって話は本当だったのか』

最後の言葉を聞いた時、俺は既に走り出していた。