東方修行僧 74
今回は(そして今回以降)、再び堕華様のキャラが出演します。それにより突然名も知らないキャラが登場するという事になっています。
東方初聞求史:再編 カテゴリーの記事一覧 - 東方物語録 ~東方二次小説置場~
こちらに堕華様のブログにある、キャラクターの説明一覧を載せておきます。当記事を読む前にこのキャラクター解説に目をお通し下さるとより、当小説をお楽しみ頂けるかと思います。
尽きましてはこの度キャラクターをお貸し下さった堕華様の小説の方もよろしくお願いします。
それでは本編をお楽しみ下さい。
ーー幻想郷、上空。
住民達は皆影を潜めアザトースの脅威から逃れようとしているなか、それに立ち向かう‘‘人間’’八十島介渡、そして六体の神は不吉な乱気流の中佇んでいた。
「・・・これで全員、かな?」
介渡が呼応を促すと他の六人は静かに頷いた。
「それで?アザトースはいつ来るの?」
そういう帝国きっての武神、華翠玉白夜は不敵な笑みを浮かべた。
「リルア、どうだい?」
介渡にリルアと呼ばれた帝国皇帝、全知の鬼神リルア・オムニポテント・ヘルヴェルは精神を集中し、神経を尖らせた。
「・・・北の方角に百メートル、といった所ね」
「となると、あそこだな?」
一度介渡の危機(正確には危機的状況ではなかったが)に駆け付けた悪竜アジ=ダカーハは指定された方向を見た。そこには丁度荒れ狂う乱気流の中心と思われるべき所だった。
「来るぞ。皆、気を引き締めろ」
「分かってるって。ちゃちゃっと終わらせちゃおうぜ!」
「お前・・・っ!気を引き締めろと言ったんだぞ!」
「悪い悪い」
片方は生真面目な口調、もう片方は少し調子が良い口調をする少女二人は、前者が麗翠九獅=リーヤ=テルースといい、『勝利の先導者』とも称される聖獣で後者はアジと共に介渡の助太刀に入った大悪魔、リーザ・ヴァルボロストである。
「いいじゃないかテルース。あんまり気合を入れ過ぎると空回りするぜ?」
こちらもまた調子の良い少女、太陽神リヴェン・キングアトラスはリーザに対して怒りをぶつけるテルースを宥めた(実際には「火に油を注いだ」が正しいだろう)。
「さて・・・長く続いた因縁に終止符を打つとするか・・・っ!」
一通り簡易的なキャラ紹介が終わった所で介渡は、乱気流の中心、アザトースが来訪するであろう場所を注視していた。それに促され他の者もまたその一点を見る。
それから長くは待たなかった。
「来たね・・・」
乱気流の勢いはたちまち強くなり、その中心の空間が歪んでついに割れる。
その瞬間、幻想郷に狂気が舞い降りた。
アザトースが恐怖と絶望を纏いながら現れた。
「さあ、暴れるわよ・・・!」
白夜は今まで何もしていなかった分、相当なやる気に満ち溢れているようだった。それは他の神々も同じだった。
「作戦通りに行くよ・・・準備は良い?」
介渡が目配せをすると、白夜、テルース、アジが介渡の背後に回り、リルア、リヴェン、リーザが少し離れた位置に移動した。
「行くぞっ!」
介渡の号令と共に前衛四人がアザトースに突っ込み、後衛三人はそれぞれ全身に力を込めた。
そして後衛から、雷や劫火、様々な魔法が打ち出されアザトースへと向かった。
それら全てアザトースに直撃する。だがアザトースはダメージを負った様子は一切無かった。
「やっぱこの程度じゃね~」
「こんなんで終わったらやりがいもないっての」
三人は徐々に火力を強めていく。流石のアザトースも鬱陶しく思ったのか、反撃と言わんばかりにエネルギー弾を撃ち上げ始めた。
色とりどりの遠距離攻撃が飛び交う中、四人は介渡を戦闘に徐々にアザトースとの距離を詰めていく。
アザトースはそれに気付いたのか、先程リルア達に撃ち上げたものの何倍もの、魔理沙のマスタースパークにも匹敵する程の魔砲を発射した。
「ふんっ!」
介渡は目の前にカルビンの盾を作り出し、その魔砲を受け止めた。だがアザトースの魔砲とカルビンの硬さでは、明らかに耐久力不足である。その証拠にカルビンは、耐え切れなくなって音をたて削れていく。
だが介渡は、決して焦らなかった。
次の瞬間、カルビンは介渡側を頂点とした三角錐へと変形していった。
それにより魔砲の勢いは幾分かに分割されて受け流され、後方で消えていった。
超強大な力を最小限の力で受け流す、これこそ人間がそれより上位の種族に対しての活路、介渡の真骨頂であった。
「やるじゃない!」
「どうも!」
その間に四人はアザトースとの距離を五メートル程に詰めていた。
「散開!」
合図と共に白夜、アジ、テルースは介渡の背後から飛び出した。そのまま勢いでアザトースに直接打撃を叩き込んだ。
介渡の背後に居た際に力を込めていたのか、最初の三人の一撃はそれぞれが重くアザトースにも多大なダメージを被らせたようだ。
アザトースの魔砲が一時的に発射を停止する。その間に後衛の三人も早急に力を溜め、先程の何倍もの威力を持つ魔法を発射した。
上乗せでそれを喰らったアザトースは、大きくよろめいて数千メートル下へ降下する。
「この様子なら早く片付くんじゃない?」
余裕の表情を見せる白夜。だが介渡は、その意見に賛同しなかった。
「どうやら敵は、アザトースだけじゃないようだ」
七人は先程までアザトースが居た所を見た。
「雑魚を増やして数で押そうっての」
「やらせるもんかよ!」
七人の奮闘は尚も続いた。