yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 57

霖之助!!」

こんな状況では絶対に見ないような顔にヒューマノイドは驚いた。確かに彼も妖怪ではあるが、戦いは苦手というかあまり好まない筈。それが、何故・・・。

「色々疑問はあると思うが、とにかくこれを受け取ってくれ!」

「おい正気か香霖!?そんな大声で呼んだら敵に狙われるぜ!?」

あたふたと慌てだす魔理沙を余所に、霖之助は何かを投げた。その‘‘何か’’は放物線を描きながらヒューマノイドの手元に納まった。

掌には、何やら小さくて黒い物質があった。

「一体何だこれは・・・?」

「細かい事は抜きだ、早くそれを飲み込むんだ!!」

ヒューマノイドは考えた。飲み込む、となると錠剤の一種なのか。肉体を強化するドーピングのようなものなのか?

だが、錠剤にしては形がそれっぽくない。錠剤はもっと整った形をしている筈だが、目の前のそれはあまりにも形が乱雑過ぎて錠剤には見えない。

「早く飲むんだ!」

「そうはさせない」

何度も急かす霖之助にレイルは急接近した。

「ヤバい!」

魔理沙は急いで弾幕を展開する。が、今のレイルにとってそれは無意味だった。

弾幕を何個も消し去りながら、レイルは霖之助の背後に回った。

そのまま、首を絞める。

「ぐっ!?」

「香霖!!」

ヒューマノイド!こいつを殺されたくなければ、その手に握っているものを捨てろ!」

レイルは、霖之助のこめかみに拳銃を当てた。

「気にするな介渡!僕の命と幻想郷どっちが大切だ!?」

「黙れ青二才がっ」

レイルは、霖之助の腹を拳銃で殴った。うぐっ!と悶絶する霖之助

「さあ、早くしろ!」

「・・・」

ヒューマノイドは、険しい顔付きになった。

「聞いているのか!」

「介渡!」

 

 

「・・・はぁ。全く、ヒューマノイドだったり介渡だったり色んな名前で呼ばないでくれるかな?」

ヒューマノイドは溜め息を吐き、まっさらな頭を掻いた。

その場の全員が拍子抜けした。

「そんなこと気にしてる場合なのか?早くしないとこいつは死ぬぞ?」

「レイル、君には呆れたよ。まさか人質を取ろうとするなんてね」

ヒューマノイドがレイルを見た。次の瞬間、ヒューマノイドはレイルの背後に立った。

「なっ、しまった!」

「人質を取るなんて弱い奴のやる行為だ、違うか?」

半ば怒り気味のヒューマノイドが放った肘打ちはレイルの体を『く』の字に曲げ、そのまま何処かへすっ飛ばした。

「ぐあっ!!!」

「大丈夫か霖之助?」

「僕の事は大丈夫だ。それより・・・」

霖之助ヒューマノイドの右手を指差した。

「そいつを早く飲み込むんだ。説明は飲んでいる間に済ませる」

 

「飲めばいいんだね?」

ヒューマノイドは右手を口に当てた。黒い物質が口内に入り喉を通るが、上手く飲み込めない。途中で突っ掛かったようだ。

咽るヒューマノイド。必死になって顎を動かしたり首を叩いたりしていると、喉仏が上下に動いた。どうやら上手く飲み込めたようだ。

それを確認してから霖之助は喋り始めた。

「その物質は『カルビン』というものだ」

「その割にはあまり味が無かったな」

「・・・肉の部位の話じゃないよ?」

咳払いをして、続けた。

それはヒューマノイドにとって衝撃的な事実だった。

「・・・君は勘違いをしていたんだ。ロンズデーライトは世界一硬い物質なんかじゃない」

「何?」

目を丸くするヒューマノイド。無理も無い。自分が「これ世界一硬いんだぜ~」と胸を張って自慢していた物は実際には世界一じゃなかったのだから。

驚きと同様に、恥ずかしさが込み上げてきた。

「カルビンはロンズデーライトを大きく上回る硬さを持っている」

「具体的に、どれぐらい硬いんだ?」

「ロンズデーライトはダイヤモンドの一.五八倍の硬さに対し、カルビンはダイヤの三倍の固さを持っている」

しかも結構な違い。ますますヒューマノイドは落胆した。

「それで、それを飲み込ませてどうするんだ?」

「それは・・・」

ゴォンッ!

 

突如鳴り響く轟音。

「うがああああああッッ!!!」

その中心には、怒り狂うレイル。

 

「マズいッ!」

咄嗟に硬化させたヒューマノイドの腕は、

 

今までと違い、異様に黒かった。

「な、何だこれ!?」

驚きつつも拳を振るうヒューマノイド

だがそれはレイルにとって抵抗にすらならなかった。

筈、だった。

 

黒く変色した腕はレイルの拳とぶつかり合った。

 

次の瞬間、レイルは地面に頭からぶつかっていた。