yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 32

「鬼相手にスペルカードは無用っ!」

聖がエア巻物を翻すと、それに伴い聖の体が赤黒く発光する。

「かかってきなっ!」

勇儀がそういった瞬間、聖が視界から消えた。

「っ!」

勇儀が気付いたときは既に聖は勇儀の背後に回っていた。

魔法で極限まで強化された拳が勇儀を襲う。

それをまともに喰らった勇儀だが、数メートル飛びはしたもののなんともない様子だった。

「へぇ、中々の速さだ。まるで天狗のようだね」

勇儀が賛辞を送る。

「今のが本気だと思わないで下さいね」

またもや聖が背後を取る。

「あたしゃ二度も同じ手は喰わないよ」

自慢の怪力を利用し、防御の構えを取る勇儀。

だが、

「二度も同じ手を使うと思うのですか?」

聖は殴るのではなく、掴んだ。勇儀の腕、腰の辺りを掴んだ。

そのまま足をかけ、背負い投げをした。

「っつう!」

流石の勇儀も応えた。

「へへへ」

しかし、勇儀はガッチリと聖の腕を掴んでいた。

「っ!?」

「そらよお!」

聖を引っ張りそこに容赦なく拳を叩き込む。

聖もまた数メートル後ろに飛んだが、足で地面を滑りながら威力を殺した。

「やるねえ」

「貴方も」

 

 

別視点ーー。

「いいなーあの鬼ばかり戦って」

レミリアは暇そうにグングニルを振り回した。その衝撃で付近の兵士達が何人も上空に舞う。

「そう言ってもね、私だって暴れたいのよ。でも霊夢達は加勢する必要が無いし」

一方幽香は手持ちの日傘を振り回している。こちらも上空に兵士達が舞い((ry

咲夜魔理沙もそうそうやられることはなさそうだし」

「実際やることもないのよね・・・」

そう言いながら二人は足元の兵士達を見た。地面に叩きつけられる衝撃は相当のものの筈だが、それでも生きているのはよく訓練されている証拠だ。

「ちょっとお腹が空いたから血を頂き・・・」

レミリアが顔を近付けた瞬間、レミリアの顔の横を銀製のナイフが通った。

「・・・」

何食わぬ顔でそちらを見る。視界の真ん中に居たのは咲夜だった。

「・・・ちょっと、従者が主人に刃向かうとは何事よ」

「申し訳ありませんお嬢様!しかし体の自由が利かず・・・あっ!」

咲夜はまたもやナイフを投げた。

「やれやれ・・・操られているとはいえ主人に逆らうとは言語道断」

レミリアグングニルを振りかざした。

「従者の精神を、今一度教える必要がありそうね」

 

 

「あらら、一人で抜け駆けしちゃって。これじゃ不公平だから、貴方達には遊び相手になってもらうよ?」

「あや~よりによって幽香さんが相手とは・・・しかしこの人数、いや妖数ならいけるかも?」

レミリア咲夜と対峙している同時刻、幽香は文達と旧地獄組と対峙していた。

「そう一筋縄でいくと思わないで頂戴。こちらにも最強の妖怪としての面子があるのよ」

幽香が周りを威圧する。その重圧感は人間だったら小便を漏らしてしまいそうだ。

「さて、始めましょうか・・・」

 

 

「事は全て計画通りだ・・・。霊夢萃香同様、レミリア幽香、勇儀らも包囲した。本来なら頃合いを見計らって我が赴くところだが・・・」

マインドは目の前にいる人物を見た。

「まずは目の前の事を処理しなければならない」

「貴様はあまりにも多くの者達を利用し過ぎた。この私が容赦しない」

「よく分からんがとりあえずヒューマは俺が助けるっ!!」

「一度に沢山喋らないでくれ。私はどこぞの神霊じゃないんだ」

呆れた表情を浮かべるマインドに対して、二人は真剣な表情を崩さぬままだ。

「ところで汝らがいうヒューマという人間は・・・」

マインドの背後から黒い影が近付く。その影は段々大きくなり、そして姿を現した。

「ヒューマ・・・」

それは二人もよく知るヒューマノイドそのものだった。しかし唯一違う点では顔に『感情』というものが存在せず、更に他の操られている者達と違いその目は虚ろというよりまるでこの世に存在する深淵の闇を見ているかのような、邪悪でただならぬ色をしている。

「流石4000年間歴戦を生き抜いてきた強者だけある。気絶していながら、並大抵の意志の支配では不足であった。故に我が能力を全力で振るわせてもらった」

行け、とマインドが告げる。ヒューマノイドが戦闘の構えをとるのに呼応し、対峙する二人も臨戦態勢を整えた。