東方修行僧 22
「ボス、報告が」
「・・・分かっている。3人とも敵の手に落ちたのだろう?」
「はい。我が部隊も殆どが敵の療養所内とのこと」
「何故ヒューマノイドという男は我々を殺さぬ?放っておけば確実に危険なものなのに」
「・・・」
「いけ好かぬ奴だ。そうやって誰も殺めないのが正義だとでも思っているのか。時代は常に何かの犠牲の上で進んでいく。死を拒んだとき、その種族の文明は終わる。そうだろう?ヴァルド」
「その通りで御座います」
「奴は死を相当恐れているようだ。だが実力は折り紙付き。用心せねばならぬ」
「とすると・・・」
「彼らに殺らせる。正直この戦いに出る幕は無いと思ったが・・・。だからヴァルド、其方はもう下がってよい」
「承りました」
・・・。
「・・・そうか。報告有難う。こちらもそれに対応するよ」
「気をつけろ。奴等はこれまでの幹部とは比べ物にならない程の強敵だ」
「人数は?」
「2人だ。勿論それぞれ能力を持っていて一人は意思の操作、もう一人は物質の溶解だ。また、軍隊もこれまでのものとは打って変わって最新式の軍備を整えている。各部隊の隊長にもアラン達と同じぐらいの実力者揃いだから、下っ端だからと舐めてかかるな」
「そうか、君達も本領発揮って訳か。果たして全員生還させられるだろうか・・・」
「っ!アンタはまだそんなこと!?舐めてかかるなと・・・」
「いいか。上司の仕事は部下を全員死なせず無事に任務を終えることだ。それ程の意志がないものに上司になる資格なんてないんだ」
「っ・・・」
「まぁ、情報提供感謝するよ。君の命がけの働きが無かったら私達の今は無いに等しい」
「ああ、今後も情報が入り次第報告する」
「それじゃあ」
プチッ。ツーツーツー。
「アンタは何故そんな無茶を。一体何がアンタをそうさせているんだヒューマノイド。俺には分からんよ・・・」
ーー幻想郷の皆に告ぐ。
これから我々は本当の戦いに挑むことになる。自らの身が大事なものはできるだけ戦地から離れるように。
幻想郷の為に戦う覚悟があるもの。君達は生半可な気持ちでは命を落とすことになる。自分が生き残る為、全力を尽くして欲しい。私も最大限の、いや、それ以上のサポートをする。
これから起こるのは紛れもない『戦争』だ。皆のもの覚悟して挑むように。
以上。