yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 20

「・・・ところで」

突然ヒューマノイドが起き上がる。その声色は先程のようなおちゃらけた雰囲気ではなく、戦いの時の真剣なヒューマノイドのものだった。

「どうしたのですかヒューマさん?」

「さっきっから君は何ジロジロ見ているんだい?どうせ気付かれてるのにも気付いてるんだし早く出てきなよ」

「流石だな。いや、これぐらい出来てトーゼンだな」

「その声、まさか・・・」

真っ先にアランが振り向く。

「よぉ。まさかお前まで敵の手に落ちたとはな」

「グロウ!」

ヒューマノイドはその男に見覚えがあった。

「君、あの時のか。まあ君以外に思い当たらなかったけどね」

「ふっ。幹部はまだいる」

「!」

「俺を除いても後一人・・・。それと部隊は指揮しないが、ボスの取り巻きが複数名いる」

「それを敵である私に軽く教えていいのかな?」

「問題ないぜ。何たってテメェは・・・今ここで、死ぬんだからな!」

グロウは即座に45口径ピストルを構えた。

「さよならだ!」

グロウは引き金を引いた。

「っ!?」

しかし銃弾は空を裂く。なんとヒューマノイドは体を捻って弾を避けたのだ!

「避けられた・・・!?」

「45口径ピストルは威力こそあるが、今君とこの私の距離では大幅に減速していってしまうからね。最も、銃弾を避けるなんて」

グロウは45口径ピストルの威力が活かされる最大限まで距離を詰めて発砲したが、それすらもヒューマノイドは軽くあしらう。

「4000年戦場を彷徨った私には造作ない事だ」

「勝ち誇るのはまだ早いぜっ!」

「何だって?」

その一言にヒューマノイドが警戒すると、四方からメキメキという音が聞こえた。

「この音は・・・もしかして樹木がしなっている音か!」

ヒューマノイドの予感は的中した。

周囲を見渡すと数本の樹木がヒューマノイドが立っている場所に向かって倒れてきた。

「踏み潰されろぉっ!」

「くっ!」

ズシーン!という音と共にヒューマノイドの周囲は砂煙に覆われる。

「これでは周りの状況が見えないな・・・」

「ここだっ!」

グロウはヒューマノイドの背後を取った。鼓膜が破れそうな程の豪快な発砲音が、辺り一帯に劈く!

だがしかしその後に鳴った音は肉片が飛び散ったというよりかは、木片が飛び散ったような音だった。

「視界が遮られたのは君も同じ。言った筈だろう?銃弾を避けるぐらい造作無いって」

ヒューマノイドはグロウの脇腹に一発浴びせた。圧倒的な破壊力を貰い、グロウは勢いのまま飛んで近くの岩に体をぶつけた。

「地の利を活かしての戦い方には評価出来るな。だがそれは相手も同じということも頭にいれておくことだね。私はもし幻想郷でこういうことが起きたらに備え、既にこの幻想郷の構図、地形、土地、特徴等を全て頭に叩き込んでいる」

備えあれば憂いなし、とヒューマノイドは続けた。

「やっぱその場しのぎの対策ではアウェーは覆せねぇか・・・」

「どうせ君も能力を持っているんだろ?使えばいいんじゃないかな」

「残念だが、もう使っているッ!」

グロウは強靭な脚力でヒューマノイドへと飛び掛かり、打撃の構えをとった。ヒューマノイドは相殺させようと同じく拳を振りかぶる。

パァン!と乾いた音が鳴り響く。そのぶつかり合いを制したのは、グロウだった。

「ぐっ!」

ヒューマノイドの態勢が崩れ、グロウはその顔面に追撃の一打を加える。ヒューマノイドは先程のグロウと同じようにして岩に激突した。

「今のパンチは何だ・・・?偉く重い一撃だった・・・」

「それはお前のパンチに加え、岩に衝突した衝撃をそっくりそのままお前にお返ししただけだよ」

岩にもたれかかるようにして座るヒューマノイドに、グロウが歩み寄ってきた。そして、続けた。

「これが俺の能力だッ!受けた衝撃を自らの運動エネルギーに変換するッ!『衝撃をエネルギーに変換する』能力だッ!」