yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

東方修行僧 18

「『旋符「紅葉扇風」っ!』」

文の目の前に竜巻が発生し、アランに襲い掛かる。

「甘いっ!」

アランは全身を硬化させ、自らの質量を増やした。

その重さは文の竜巻に吹き飛ばされないようにするには十分だった。

「くっ!」

「ではお次はこちらから♪『鉄柱乱舞』!!」

アランが指を鳴らすと、地面から突如として鉄柱が出てきて一斉に文に向けられた。

「全部避けられるかしらね?」

圧倒的スピードで向かっていくそれは、空を裂いて高鳴りしていた。

あやややや。凄い早さですね。ですがっ!」

文は涼しい顔で鉄柱を次々と避けていく。

「私のスピードに比べればまだまだですね!」

幻想卿で最速を誇る天狗の中でも更に速い部類に入る文にとっては、今の鉄柱を避けることぐらい造作ないことだった。

硬化して受け止めるアランに対し、スピードで避ける文。

相反する二人の戦いは、長引くことを余儀なくされた。

 

 

「よぉお前。うちのアリスがお世話になったな」

「今度はだぁ~れ?」

「私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ!」

「そっかぁ。僕の名前はねぇ、マクロ・ルーナンっていうんだぁ」

「余程泳ぎが得意なんだな」

「そうだよぉ身も乗ってるよぉってマグロじゃないよぉ!」

(本当にこれが隊長なのか?)

魔理沙が受けた印象では、目の前の少年は朗らかな笑顔で、決して敵対心を見せず、凄く友好的で人を傷つけるような人物に見えなかった。

しかし、アリスがこの少年に鉛弾を喰らっているのは事実だ。用心せねば、と魔理沙は身構えた。

「ていうかお姉さん、魔法使いなんだぁ。凄いなぁ~憧れちゃうなぁ~」

「ったく、いちいち喋り方がむかつくなお前」

「そんな酷い事言わないでよぉ!」

「『恋符「マスタースパーク」』」

不意打ちと言わんばかりに魔理沙はミニ八卦炉を構え、マスタースパークを放った。

そしてマクロに直撃した。

「・・・。やった、かな?」

「いったいなぁもう!何するのお姉さん!」

「・・・」

魔理沙はある程度予測がついていたので、あまり驚かなかった。

マクロは今度も飛ばされはしたが、全くピンピンしている。

「あの兎から話は聞いていたが、お前は何でそう攻撃をもろともしないんだ?」

「え?教えてほしい?」

「ああ、是非」

「え~っとねぇ、これは僕の『のうりょく』っていう物の影響らしいんだけど・・・」

(簡単に口を割りやがったぜ・・・)

「正直僕もよく分からないんだけど、レイル君が言うにはね・・・

 

 

『何でもギャグにしてしまう』っていう能力らしいんだ~」

「・・・」

 

 

「・・・は?」

魔理沙はしばらく呆れていたが、ようやく我に返った。

無理もない。銃まで所持している敵の軍隊の、それも幹部ともあろう人間が『何でもギャグにしてしまう』という能力持ちなんて。

場違いにも程がある。もっと言ってしまえば、それを幹部に仕立て上げるボスの方もどうかしている。

「・・・でもそうか。それなら納得がいくな」

ギャグには様々な種類がある。どんなに強力な攻撃を受けても数秒したら回復していたり、普通では考えられない程の威力の攻撃を繰り出したり(またそれを受けてもピンピンしていたり)。

それをどんなシリアスな場面でも適用してしまうとは、いささか危険な能力である。

だが魔理沙は考えた。

「お前、部下がいないのに気が付いてたか?」

「えっ!?」

マクロは慌てて後ろを振り返った。勿論誰もいない。

「えぇ~っ!?いつの間に!?」

マクロはしゃがみ込み、泣き始めた。

「うわぁ~ん皆どこ行っちゃったんだよぉ~!一人ぼっちじゃ寂しいよぉ~!!」

「は~。しょうがない、私らが探してやるからお前、私達の所に来ていいぜ」

「・・・いいの?」

「全然おっけーだぜ」

「ありがとう!お姉さん優しいんだね!」

「おーそうだぜお姉さんは優しいんだぜ!(やっぱりこいつ戦う気無かったんだな)」

こうして幹部の一人は幻想卿陣営に引き込まれたのである。

 

 

「うわ~お兄さんその耳につけてるの何!かっこいい~!」

「お、おう・・・い、いいだろうこれ!?(これ本当に幹部なのか!?)」チラッ

(ああ、間違いないぜ・・・信じられんが)

「(ま、まぁとにかく幹部の一角を崩せたのはいいけど、何か納得いかないなぁ~)って痛い痛い引っ張らないで!」

「あは、あはははは!」

「いやホントやめてってギャァァァァァアッ!!」

(敵の幹部恐るべし、だぜ・・・)