東方修行僧 13
「・・・。とうとう、起きてしまった。この世界に『異変』ではなく『戦争』が。私が怖いのは戦争自体ではなくその後だ。幻想郷に銃器や爆弾等の兵器が広く知られてしまったらこの幻想郷の秩序は、恐らくは崩壊してしまうかもしれない。あれは、人間でも妖怪を×せてしまうものだ」
心地よい薫風が吹く。
「幻想郷が、変化することがあってはならない。変化しないからこそ、平和なんだ。この幻想郷の秩序が崩れてしまうとき平和は終わるだろう」
ヒューマノイドは立ち上がった。そこには深い木々が広がる美しい幻想郷の姿があった。
「この姿を壊してはならない。この戦いは幻想郷の秩序と存続を懸けた戦いだ。私が、何とかしなければ・・・。そうだよね?」
突如空間が裂けた。そこから金髪の少女が顔を出す。
「紫・・・」
「その通りよ。近年幻想郷は外の世界だけでなく他の世界との繋がりも深くなっているわ。原因は分からないけど・・・。幻想郷の秩序の維持は、難しいものになっているわ」
「かといって崩す訳にもいかない・・・。難しいものだね」
「この戦いに幻想郷の『人間』を巻き込む訳にはいかないわ。なるべく妖怪の手でカタをつけなければならない。霊夢や魔理沙、咲夜は別だけどね」
「後私もね」
「どうする?妖怪の力を使えばあの程度の軍隊は皆×しに出来るけど?」
「・・・いや、それは止してくれ。彼らも善意はあるし何より・・・。一人の兵士と約束したんだ。彼らを救うと」
「・・・随分背負い込んだものね。あまり自分に負荷をかけすぎると、貴方・・・」
「分かってる。でも私はそういったものを恐れたことは一度もない」
「・・・。無茶は禁物よ」
「そうだね。ありがとう」
八雲紫は、スキマの彼方に消えた。
「・・・。私はまだ×ぬ訳にはいかないんだよ、紫。今更×ぬには、君が言う通り何でもかんでも背負い過ぎた」