東方修行僧 8
「お待たせしました~!」
「あんまり待ってないがな」
「そうだね」
今さっき文を情報収集に遣わせたら、10秒ぐらいで帰ってきた。全く恐ろしい子だ。
「いや~すいません!私としたことが10秒もかかってしまいました!」
「いやいや十分だよ。それで何か分かったかい?」
「勿論です!」と文ちゃんは胸を張った。無い胸を頑張って張っているところに貧乳特有の健気さを感じ、やっぱり可愛いなと再認識した。
「まず、新しく幻想入りしてきたのは全員人間。幹部と思わしき人が2人。そこで縛られてる方を入れれば3人ですね」
「五月蠅いわね、嫌味なの!?」とアランが叫んだが魔理沙ちゃんが右ストレートで黙らせた。
「そして組織の名前ですが、特に名前は無いようです」
「名前が無い?おかしな話だな」
「いや、そうでもないよ?同じ目的をもった同志の集まりなら、名前なんて象徴的なものは必要ないはずだ。同じ目的というと少し的外れな気がするけど、天狗なんかいい例じゃないか」
「つまり、奴らも同じ目的を持った同志という訳か。何か、結束力が高そうだな」
「それで、敵は今何処にいるんだい?」
「え~っとですね、ここから東にある特に名前も無い場所ですね」
「つくづく戦争慣れしてるいるな」
「何でだぜ?」
「相手が知ってる場所に陣取ってしまったら、バレテしまう可能性が高いだろう?あえて辺鄙なところに陣を構えることによって本拠地を悟られないようにする」
上級者がやることだ、と付け加えておいた。
「成る程。ここを乗っ取られなくて良かったぜ」
「相手にとって私はイレギュラーな存在だったんだろう。彼女もよく頑張った」
彼女の方を見ると、悔しそうな表情を浮かべながら唸っていた。気の毒に。
「それで、これからどうするんですか?」
「勿論、相手をブッ倒しに行くんだぜ!」
「いや、それはまだ早い」と横槍をいれた。
「何でだぜ!?相手の本拠地が分かったんなら、さっさと潰してしまえば」
「・・・早く霊夢ちゃんを助けたいんだろ?」
「っ!」
「君の気持ちもよく分かる。でも焦っちゃだめなんだ。人は焦ると判断力が鈍るから常に頭の中は落ち着いていないと。相手は相当な人数がいる筈だから、私と魔理沙ちゃんと文ちゃん達天狗だけで戦ったって、まず勝てない。そこで、だ」
少し間を空けた。大事な事を話すときは少し間を空けると、聞き手が聞き取りやすくなる。
「魔理沙ちゃんと少数の天狗達は、この捕虜達を華扇の所へ連れてってくれ。あそこの屋敷の周辺は迷宮になっているから、進入するのはほぼ不可能だ。残りの天狗達は文ちゃんを中心に各地に協力を伝えて。戦力は増やしたほうがいい。白狼天狗達は椛ちゃんを中心にここの防衛だ。分かったかい?」
「待てヒューマノイド。お前はどうするんだ?」
「私は・・・
私は、単独で霊夢ちゃん救出に向かう」