東方六方晶 後日談1
私は霊夢にあと一歩の差で及ばず、空しくも負けとなってしまった。
迷惑かけた罰として博麗神社の掃除を当分やらされた他、色んな人に使い回しされてだいぶ精神が滅入ってしまった。
今回の異変の依頼主である紫にも「もうちょっと頑張りなさいよ」と散々罵倒された。
この幻想卿にやってきてからいいことはこれっきし起こらなくなってしまった。
・・・しかし、逆にそんな多忙さのおかげで私は過去の事を考えなくて済むようになっていた。
さらには紅竜玉神殿に住む『リルア』という少女(といっても私より年上)が私の噂を聞きつけ、自分達の帝国に嘱託してみないかと勧誘を受けた。
勿論最初は断った。私は既にレギオンズΣに所属しているしかといってレギオンズをそう簡単に辞められない。いつも色んな世界を旅していてレギオンズを空けることは多かったが、それでも思い入れがあるギルドだ。
しかしリルアは引き下がらなかった。ギルドごと帝国に移住しないかと言ってきたのだ。そんなこと出来る訳ないと否定せた。理由は言わなくても分かるだろう。
・・・しかし、リルアは熱心に勧誘してきた。既にリルアと友人と化していた私は返答に困った。
そこで、ある決断をした。ギルドの支部を帝国に作ってみてはと。
しかしそんなことが勝手に出来るはずなんて無い。考えなくても分かる事だ。
だから私は一度ギルドに戻り、団長とスフォルさんに話を付けに行こうとした。二人が快く了承してくれる保証なんてないが、それでも友人のあんな熱心な頼みを無下に断れない。自分で言うのも恥ずかしいが、それが私の「優しさ」なんだろう。
その一方で葛藤もあった。
違う世界に身を置けば、勿論本部の人達と顔を合わせられる時間は減る。
自分にとって正しい道はどちらか?
散々悩んだ。散々悩んだ挙句、
・・・私は、帝国に支部を作る事を決意した。
寂しいものはあるが元々私は外出が団員の中では多い方だったし、何よりレギオンズの事業(そこまで大層なものなのか分からないが)を拡大することは悪くない事だと思ったからだ。
私は故郷(ギルド)に帰った。
心が優しい彼らは温かく私を向かい入れてくれた。
しかしそれに甘えるわけにはいかない。
私は決心したんだ。
「支部・・・だって?」
「はい」
リルアを交え、スフォルとの話し合いが始まった。
「君はそれでいいの?そんなことになったら君ここにいつ来られるか分かったもんじゃないよ?まぁ元々いない時間ばかりだけど」
「はい。覚悟の上です」
「・・・」
「・・・いいんじゃない?」
「・・・!」
「え!?いいんですか!?」
「俺個人としては賛成ではないけどね...君の友達の国家を無下にも出来ないからね」
「こっちは大丈夫。心配無用よ」
「はい。背負い込むものが大きくなるということは充分承知です。・・・しかし、大きすぎるとは微塵にも思っていません。むしろ俺なら出来ると思ってます」
「まあうちの人は変わった人しかいないけど・・・多分力になれると思うよ」
「ありがとう。感謝するわ」
「貴方が一番変わっt」
おっと、このやり取りはよくある奴だからカット。
団長へはスフォルさんが「「めんどくせぇ、好きにしろ」って言うと思うから大丈夫だよ」と言ったのでそれを信用するが、何にせよあの人が説明してくれるから心配ないだろう。
後日談2に続く・・・。