東方六方晶 ~第14話:幻想に生きる少女達と現実に生きる少年~
「『氷符「アイシクルフォール」』!!」
「出たな!正面アンチ!」
「ふっふっふ。それはeasyモードのみだ!」
「何!?」
「なんだろう・・・チルノちゃんと互角に勝負してる人始めて見た・・・」
さっきまでレミリアと戦っていたのはなんだったのか。
そう思えるほどの低レベルな戦いに大妖精は呆れ気味だった。
「君、紫からは「弱いから気にしなくていいわ」って言われてたけど・・・中々やるね!」
「当たり前だ!あたいは最強なんだもん!」
「西京?電車なのか?」
ついでに訳分からない事まで言い出し、事態はますますカオスな方向に向かっていった。
「電車?何それおいしいの?」
「まったくおいしくないけど・・・君は電車が幻想入り+擬人化した存在なのかい?」
「電車って凄いのか?」
「う~ん・・・あっちにいたときはそんなこと考えたこと無かったけど、今思えば凄いんだな。あちらこちらの交通機関を牛耳って、人間にはかかせないものになってるもんなぁ・・・」
「よく分かんないけど凄いってことは最強なんだな!!じゃああたいは電車だ!!」
「チルノちゃん・・・」
「それで、電車ってのはかくかくしかじかで・・・」
「へぇ~本当に凄いんだな!」
「その化身である君も凄いんだよ」
「まああたいは最強だからな!!」
ほのぼのとした戦闘は一転、どうでもいい会話に移り変わっていった。
妖精が話をころころ変えるのはよくある話だが、それに完全に飲み込まれた話は未だかつてヒューマノイドしかいなかっただろう。
「さて・・・楽しいけどもう行かなきゃ」
「え~もっと電車について教えてくれよ~」
「ハハッ。また今度な」
そう笑いかけると、ヒューマノイドは森に向かって歩き出した。
「え~」
「チルノちゃん・・・大切な事忘れてるよ・・・」
「え?そうだったっけか?ってか大ちゃんは何でそんなに疲れてるんだ?」
「気にしないで・・・」
しかし、数歩歩くとヒューマノイドは立ち止まった。
「ん?どうしたんだ?」
「・・・
・・・いるんだろ。博麗の巫女」
「あら、館が鋭いのね」
「どっかの巫女そっくりだぜ」
ヒューマノイドが振り返ると、空から霧雨魔理沙、博麗霊夢の2人が降りてきた。
「空から落ちてくる系のヒロインなら間に合ってるよ?」
「生憎、そんなものは存じ上げないぜ」
「そうかい」
「おい!ヒューマ兄に何するつもりだ!」
「ヒューマ兄ぃ!?」
一番驚いたのはヒューマノイドであった。
そして息を荒げながらぶつぶつ独り言を言っている。
一部始終を見ていた大妖精はますます飽きれた。
「チルノ・・・ちょっとあんたはどいてなさい」
「ダメだっ!ヒューマ兄と電車の話するんだっ!」
「電車?」
「君らの時代で言う蒸気機関車みたいなもんさ」
「だから絶対どかない!それでもどかそうってんのならお兄ちゃんと一緒に戦うもん!」
あ、お兄ちゃんで反応した!
ヒューマノイドを観察していた大妖精はそう気付いた。
「チルノちゃん・・・そのその人色々危ないから行こ?」
「大ちゃんの頼みでもそれはダ・・・」
「そうだよ氷の妖精ちゃん。こっからは君が介入してはいけない」
大妖精は驚愕した。
さっきまで変態丸出しだったヒューマノイドの態度が一転、急に声色が暗くなり表情が固くなっていたからだ。
「・・・場所を変えよう、博麗の巫女。ここじゃこの子達に危険が及ぶ」
「別に、好きにしなさい」
「ってことでぇ、じゃあなチルノちゃんと大妖精ちゃん!また今度!」
そういうとヒューマノイドは得体のしれない、目には見えない何かの力でどこかへ飛び去った。
それに続くように霊夢、魔理沙といなくなり、その場所にはチルノと大妖精だけ取り残された。
大妖精は、さっきとは違う意味で呆然としていた
次回、博麗の巫女&普通の魔法使いVS擬似人間
※注意
やっほいは決してチルノ好きではありません。
むしろ布都が大好きです((←