yahhoi's novel.

私ことやっほいの小説置場です。オリジナル小説に加えレギオンズの皆様との小説、堕華さんとの提携小説や東方二次創作等を書いていきます。

World Travel episode 1 〜家庭教師編 part6〜

あれからどれぐらい経っただろうか。

恐らくそんな経っていない筈だ。

フェイは短期間で目まぐるしい上達を遂げていた。

誰も予想できない程に。

何せ俺でも予想できなかった。

そしてフェイは今・・・

「ウオオオォォォォォォォオ!!」

「・・・」

武闘会の真っ最中だった。

「どうしたどうした?このクソガキぃ。避けてばっかじゃ勝てねぇぞぉ!!」

「・・・はぁ」

フェイは今、若干押されている。

いや、

 

 

 

 

 

押されているように見せかけている。

恐らく次相手の剣がフェイに触れただけでも・・・

がチィンッッ!!

甲高い音が会場に鳴り響く。

その瞬間、勝敗は決した。

 

 

 

 

 

「いや〜お疲れフェイ君www」

「あれが疲れるような試合に見えるのなら眼科行ったほうがいいよ」

フェイは退屈そうに答えた。

そりゃそうだ。

相手はフェイが少しずつ剣を壊しているのに気付かず馬鹿みたいに剣を振り回しているだけだった。

最終的にはフェイの体に当たっただけで壊れてしまった。

剣士失格である。

まず何で武闘会に挑んだかも謎である。

「でもあの人、地方では結構有名な剣士らしいわよ」

あれ?この声聞いたことあるような・・・。

「おやおや。お久しぶりですアイミア王女」

フェイが深々と頭を下げる。

そっか。こいつも武闘会に参加してたのか。

「フェイ王子。アナタ中々やるようになってきたわね」

「お褒めいただき光栄です。アイミア王女は予選突破なされましたか?」

「当たり前よ。一分で倒してあげたわ。」

「おぉそれはすごい。」

一分、か。やはり中々の手練らしい。

「・・・ってか、その敬語やめてくれる?気持ち悪いんだけど」

「あ、そう?んじゃ遠慮なく」

「っ・・・アナタも大口叩くようになってきたわね・・・」

まぁ俺が教えたからな。この俺が。

「盛り上がってるところ悪いがお2人さん。少し用を足してきてもよろしいかな?」

俺がそう切り出すとアイミアは「レディの前でよくそんなこと言えるわね」と罵倒されたが、フェイにOKを貰ったのでそうさせてもらうことにしよう。

 

 

 

 

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「さて、Dグループの試合を見ておきましょうか」

「なんで?」

俺はそう問いかけた。

「あのねフェイ王子。本線は誰と当たるか分からないの。だから色々チェックして本線で当たっても大丈夫なようにしておかなくちゃいけないの。常識よ?」

成程。頭がいいなぁ。

「ほら、最後の組始まるよ?」

「分かった」

テレビに中継が流れる。

「さあさあやって参りました予選一回戦最後の試合です。」

司会者が雄弁に語る。

「赤コーナー。最強の暴君、ジョード・クライアンんんっ!!」

その瞬間、大きな歓声が沸く。

それは直接耳に飛び込んでくる程だった。

「なぁアイミア王女。この人有名なのか?」

そう俺が聞くと、彼女は「えっ、知らないの!?」と言わんばかりの顔をした。

「ジョード・クライアンはこの武闘会を12連覇してる最強中の最強よ。私も去年決勝で彼に負けたの」

12連覇か・・・確かに強い。

「私はCグループだから、準決勝で当たるわね。私は今まで彼を目標にして来たの」

勝ち上がる前提ですか・・・と思ったが、12連覇という記録は凄いし、彼女の実力も筋金入りなのは確かなので、言及しないことにする。

続いて司会者が、

「青コーナー。エルミリオ・オノクロムゥゥッ!!」

と言った。

案の定、会場は大ブーイングに包まれた。

「エルミリオ・オノクロム・・・聞いたことないわね。初挑戦かしら?」

「初挑戦で大会12連覇の怪物と戦うとは、お気の毒だね」

場内が一気に静まる。

試合が始まろうとしているのだ。

「レディー・・・ファイトッッ!!」

審判の威勢のいい声が響く。

 

 

 

 

 

それはあまりにも一瞬だった。

時間にして3秒程か。

あまりの速さに観客、審判、司会者皆キョトンとしている。

「しょ・・・勝者、エルミリオ・オノクロムゥゥッ!!」

審判の判定を聞いても全員表情を変えない。

「う・・・そ・・・。今まで無敗を誇ったあのジョードが・・・たった3秒・・・で・・・っ!?」

横でアイミアが口を抑えて驚愕している。

エルミリオは退屈そうにフィールドを後にする。

 

 

 

 

 

・・・何者なんだあのエルミリオという奴は?